クック諸島は、深海採鉱の可能性を検証するための2年間の海洋探査を完了したところだ。この探査段階は今後約3年間ほど続く予定で、3企業がクック諸島の海域に入ることを可能としている。深海採鉱では、ノジュールと呼ばれるジャガイモ大の岩石を海底から数キロの深さまで採取する。この岩石にはニッケルやコバルトのような貴重な金属がたくさん詰まっており、深海採鉱会社は、世界が電力へと移行する中で、深海採鉱は環境保護を促進すると主張している。クック諸島海底鉱物局(Cook Islands Seabed Minerals Authority)(クック諸島における海底鉱物活動の規制を担当する機関)の責任者であるAlex Herman氏は、「ノジュールに関する知識は1970年代まで遡り、資源を持続的に開発するために国がより積極的な措置を講じたのは約20年前からだ」と述べた。Herman氏は「この2年間の探査で、海に関する新たな知識を得ることができたが、企業が海底からノジュールを採取する段階に進むかどうかを判断するのは時期尚早だ」と述べた。そして、「探査を実行する3企業には、クック諸島政府と国民に、環境的に安全で経済的に実現可能な方法で、我々の海域からノジュールを商業的に採掘できることを示し、我々を満足させる責任がある」とも述べた。一方、特に海外では、深海採鉱の一時停止を求める声が高まっている。英国は、この活動の停止を求める24カ国のうちのひとつである。また、環境非政府組織(NGO)もまた、海底採鉱が気候変動の一因となるなど環境破壊につながるとして、その禁止やモラトリアムを求めている。こうした環境団体が危惧しているのは、採鉱許可が下りなければ企業を撤退させることが難しくなることだ。例えば、2019年クック諸島で探査を実施している3企業の1つであるオデッセイ・マリン・エクスプロレーション社はメキシコ政府に対して、違法にライセンスを拒否されたと主張し数十億ドルを要求して提訴した。裁判はまだ係争中だ。そして別の危惧する点として、環境影響評価(EIA)が企業によって実施されることだ。この懸念に対してHerman氏は、「企業がEIAを作成し、その作業に対する独立した監督や検証がない、ということではない。EIAが確かなものであることを保証するためのプロセスの一環として、独立したチェックが行われる」としている。(Radio New Zealand/MAR05, 2024)
クック諸島
【海洋問題】
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2年の海底探査で「新たな知見」を得る(クック諸島)
2024.03.11