太平洋諸島フォーラムの元事務局長テイラー氏は、太平洋の指導者は目を覚まし、AUKUSとインド太平洋戦略、そしてそれらに対する中国の対応に細心の注意を払う必要があると述べた。「この問題について、私たちはインド太平洋戦略が浮上してきたときに、もっと注意を払うべきだった。そして、私たちは、太平洋諸島フォーラムの自国のメンバーの一部を含む、その当事者である国々から、これまで一度も相談を受けていなかった。そして、AUKUSの出現-太平洋諸国は、これについてもまったく協議されなかった」と彼女は言った。
先週、サンディエゴで、米国、英国、オーストラリアの首脳がAUKUS協定を正式に発表した。これによりオーストラリア政府は、防衛・安全保障条約の一環として、今後30年間で約2,500億ドルを費やして、英国の技術部品を搭載した米国の原子力潜水艦群(その大部分はアデレードで建造される予定)を取得することになる。その結果、オーストラリアは、中国、インド、ロシア、英国、米国、フランスと並んで、原子力潜水艦を保有する世界7カ国のうちの1つとなる。
この発表を受けて、中国外務省の王文彬報道官は、「米国、英国、オーストラリアが協定を進めることによって、国際社会の懸念を顧みず、さらに「間違った道」に進んでしまった。軍拡競争を悪化させ、国際核不拡散体制を弱体化させ、地域の平和と安定を損なうだけだ。」と述べた。
サンディエゴから帰国したオーストラリアのアルバネーゼ首相は、スバに立ち寄り、フィジーのランブカ首相と会談した。ランブカ首相は会談後、記者団に対し、AUKUSを支持し、アルバネーゼ首相が原子力潜水艦の協定が、オーストラリアが加盟するラロトンガ条約(南太平洋を非核地帯とする条約)を損なうことはないと保証したと述べた。南オーストラリア州のFlinders大学Fitzpatrick教授(国際史)は、太平洋のリーダーたちはオーストラリアにこの条約に対する説明責任を果たさせる必要があると述べた。「オーストラリアとニュージーランドは、この条約の適用範囲について常に異なっており、ニュージーランドにとっては、核兵器搭載の米国艦船によるニュージーランド入港は不可と意味するが、オーストラリアでは、これらの艦船は多少なりとも歓迎されてきた。」と彼は言う。
ラロトンガ条約の締約国は、オーストラリア、クック諸島、フィジー、キリバス、ナウル、ニュージーランド、ニウエ、パプアニューギニア、サモア、ソロモン諸島、トンガ、ツバル、バヌアツであるが、特筆すべきは、米国との自由連合締結国であるパラオ、マーシャル諸島、ミクロネシア連邦が不参加であることだ。
メグ・テイラー女史は、ランブカ氏のAUKUSへの支持表明は、決してこの地域の他の指導者の立場を反映しているわけではないと述べた。一方、政治サイト「Democracy Project」に寄稿する地政学アナリストのGeoffrey Miller氏は、「インド太平洋地域の国々は、再軍備を進め、軍事費を増やしている」と指摘する。日本は昨年、第二次世界大戦後最大の軍備増強を承認し、ニュージーランドは防衛政策の見直しを行っており、それがさらなる支出につながる可能性が高いとMiller氏は述べた。「AUKUS協定が事態を悪化させるだけだと心配している」と彼は言った。(Radio New Zealand/ MAR22, 2023)