中国は、王毅外相が来週フィジーで会議を開催する際、12の太平洋諸島と、警察、安全保障、データ通信協力を含む地域全体の取り決めを求めていることが文書で明らかとなった。5月30日の外相会議に先立ち、北京から太平洋の10か国に対して送られたコミュニケと5年間の行動計画の草案は、参加予定国の少なくとも1か国からは、この地域を支配しようとする中国の意図を示しており地域の安定を脅かすとして反発を招いた。ミクロネシア連邦のPanuelo大統領は、中国と西欧諸国間の新たな「冷戦」を引き起こす恐れがあるので、「中国側の支配的な共同コミュニケ」を拒否するべきだと主張するつもりだと述べた。王氏は、5月26日から6月4日の間に、中国が外交関係を持つ8つの太平洋諸島諸国を訪問する予定で、最初の訪問国は、最近中国との間に安全保障条約を結んだソロモン諸島だ。この条約締結に対しては、アメリカ、日本、オーストラリアなどがこの地域の安定を損ねるものだとして反対していた。中国政府は、協定は国内の取り締まりに重点を置いており、西側諸国による批判はソロモン諸島の主権的意思決定に干渉するものだと述べている。ロイターが入手したフィジーでの会議に先立って中国政府が配布した前述の中国・太平洋島嶼国共同開発ビジョンの草案と5年間の行動計画には、中国と太平洋諸島は、「伝統的および非伝統的な安全保障の分野で交流と協力を強化する」「中国は、二国間および多国間の手段により、太平洋島嶼国のために中級および上級の警察訓練を実施する」と書かれている。行動計画では、法執行能力と警察協力に関する閣僚級対話を2022年に開催することや、中国が法医学警察の研究所を提供すること、また、データネットワーク、サイバーセキュリティ、スマート税関システム、太平洋諸島の「技術進歩、経済発展、国家安全保障の保護にバランスの取れたアプローチをとる」ための協力も約束されている。中国の通信企業ファーウェイは、米国のいくつかの同盟国が運営する5Gネットワークから締め出されており、太平洋諸島で海底ケーブルの建設やモバイルネットワークの運営を行おうとしても、オーストラリアと米国が国家安全保障上の懸念を理由に、機密インフラへのライバルの入札を繰り返し妨害してきた。コミュニケでは、中国・太平洋諸島自由貿易圏の設立や、気候変動や健康問題への取り組みの支援も提案されている。Panuelo大統領は他の太平洋諸国の首脳に宛てた書簡で、コミュニケは中国と外交関係を持つ太平洋諸島を「北京の軌道に非常に近づけ、我々の経済と社会全体を本質的に中国に結びつける」ことになると述べている。Panuelo大統領は、台湾をめぐる米中の緊張が高まる中、太平洋の島々が地政学的な対立に巻き込まれる危険性を強調した。「中国が我々の通信インフラ、海洋領土とその中の資源、安全保障空間を支配することによる実際の影響は、我々の主権への影響とは別に、中国がオーストラリア、日本、米国、ニュージーランドと衝突する可能性を高めるということだ」と述べる。また、中国が税関システムを提供することで、「バイオデータの収集と、わが国の島に居住、出入国する人々の大規模な監視」につながると付け加えた。一方、Panuelo大統領は、オーストラリアが気候変動に対して行動を起こしていないことを批判し、この地域にとって最大の安全保障上の脅威であると指摘した。オーストラリアのAlbanese新首相は今週、気候変動が海抜の低い島国にとって経済および安全保障上の主要課題であるとし、太平洋諸島に対する気候変動資金の増額を約束した。(Radio New Zealand/MAY25) https://www.rnz.co.nz/news/world/467857/china-seeks-pacific-islands-deal-on-policing-security-cooperation-document-reveals
太平洋地域
【中国・台湾進出動向】
中国、太平洋諸島での警察・安全保障協力の協定を模索、文書で明らかに
2022.05.26