クック諸島の真珠産業は供給の減少により将来が危ぶまれている。コロナ感染拡大による渡航制限のため高度な技術を持つ日本人技術者が不足しており、養殖従事者が否応なく真珠貝を開く作業につく事態となっている。宝石業者はクック諸島の黒真珠不足を心配しており、また、サプライチェーンが徹底的な打撃を受けることを恐れている。Manihikiには約200名の人々が暮らし、そのうちの20%にあたる人が真珠養殖従事者だ。黒真珠が彼らの主たる収入源であったが、熟練した技術者がコロナ感染拡大のためにクック諸島に渡航することができなくなってしまった。真珠を卸売り業者に供給している少なくとも10名の養殖者が不透明な状態に瀕している。このうちの一人である、Kora Koraはこの道40年の経験を持つが、時すでに遅しという。正直なところ、様々な課題があり、技術者が国へ戻ってしまってから15か月は売り上げもない状態だ。叔父はそのために養殖を辞めてしまった。4人の従弟のうち3人は既に廃業しており、再び養殖業には就きたくないという。
技術者らは真珠の種付けと収穫を担っていた。Kora氏が言うには、彼らの日本人技術者は島の3つの養殖業者のため70,000の真珠を収穫していたと述べた。彼らの不在によりその2倍である140,000の真珠が廃棄となった。それでもKora氏はあきらめないと決意を述べている。クック諸島政府海洋資源省は一般の人々を訓練して技術者に育て上げるプログラムを実施し、この技術が次世代に伝承されて行けば、外国人労働者に頼らずにやっていけるとしている。しかし技術の習得と熟練には何か月も何年もかかるというのが実情だ。(Radio New Zealand/JUL21, 2021)
https://www.rnz.co.nz/international/pacific-news/447340/cook-islands-pearl-industry-in-peril
クック諸島
【経済・社会動向】
真珠産業の危機的状況(クック諸島)
2021.07.27