太平洋地区の教会、市民団体の海底採鉱中止を訴えるキャンペーンがフィジーを皮切りに開始された。このキャンペーンのブルーライン宣言では、世界最大の太平洋の管理者として太平洋諸島の人々はその海を採鉱と破壊から守る義務があるとしている。その一方で、クック諸島やナウル政府はこの未開の海底採鉱をする企業活動を支援してきた経緯がある。キャンペーンを主導する側は、海底採鉱は取り返しのつかないダメージをエコシステムに及ぼし、巨大な採鉱機が海底を移動することで、そこに生息する固有種や未知の種である生物多様性が失われたりして決してもとには戻せない悪影響を与えるとしている。科学者がはっきりと海底採鉱の海洋へのダメージと、気候変動との関わりについて言及したことがキャンペーンのきっかけとなっている。また、かつて太平洋海底は核兵器の実験場であったが、そこの人々はブルーパシフィックラインを形成してこのようなことが2度と起こらないよう明言している。DeepGreen Metalsなどの企業は将来の脱炭素社会の実現のためには電気自動車のバッテリー材料のための海底にある多金属団塊が必要であるとしている。しかし、キャンペーン支持者は、この論理は誤りで地上におけるリサイクルの努力によってこうした金属を賄うことが望ましいと訴える。特に、Covid-19の感染拡大で観光業に依存してきたクック諸島は経済的な打撃を受け、その経済構造を多様化させるため、政府が海底採鉱を後押ししているともいえる。ツバルの元首相であるSopoaga氏は、このキャンペーン始動にオンラインで参加し、採鉱は人々の健康に様々な問題を引き起こすだろうと述べた。と同時に、核廃棄物や廃プラスチックの運び込みについても中止を求めて訴えた。(Radio New Zealand/MAR26, 2021)https://www.rnz.co.nz/international/pacific-news/439230/pacific-call-for-global-ban-on-deep-sea-mining
太平洋地域
【海洋問題】
【環境・気候変動】
世界的な深海採鉱禁止を求める(太平洋諸島)
2021.04.08