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PACIFIC ISLANDS NEWS [ 太平洋諸島ニュース ]

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COP26を見据えたエネルギー転換への取り組み(太平洋諸島)

COVID-19感染拡大の影響で先行きが不透明な中、太平洋諸国は気候変動適応への重要な行動に注力し続けている。最近開催された会議において太平洋諸島は世界のエネルギー転換への道筋をつけるための思い切った誓約の必要性を訴えた。このオンライン会議は国際再生可能エネルギー機関(IRENA)、中期排出削減目標の地域ハブ、COP26議長国イギリスの共同開催で実施された。11月に開催されるCOP26に向けて、各国政府代表は最新の排出削減目標を目指していくことで合意した。会議中パラオのインフラ担当大臣Obichang氏はパラオにおける持続可能エネルギーへの取り組みについて何度も言及した。パラオは100%脱化石燃料のエネルギーシステムを目指すロードマップを策定したという。再生可能エネルギーによるエネルギー安全保障の追及は、環境的、社会的、経済的に意味を持ち、同時に新たな産業と雇用も創出するという。IRENAによれば太平洋諸国14か国中13か国が排出削減目標をより高く設定しなおしたという。気候変動の最前線に位置する国として、マーシャル諸島は2050年には100%再生エネルギーの使用とする目標を立てている。COVID-19感染拡大が世界の注目を集めている間も、太平洋諸島は気候変動の脅威に直面している。New Climate Institute(英国の気候研究機関)によれば世界の気温上昇を1.5度以下に抑えたければ、各国政府は2030年までに二酸化炭素の排出を半分に削減しなければならないといい、科学者もこれを気候変動の悪影響を減らす基準としている。しかしながら太平洋諸島の指導者たちは、地球の気候は赤信号をすでにともしていると警告していた。
ツバルも気候変動危機の最前線にいる国だ。ツバルのナタノ首相によれば、2019年1年間の気候災害被害額は1500億ドルに上り、COVID-19感染拡大の影響で2020年も二酸化炭素の排出量は上昇し続けているという。ナタノ氏は太平洋諸島フォーラムの議長も務めているが、太平洋諸島の国々が犠牲になることは拒否すると訴える。「パリ協定から5年、我々は自分自身に問いかけなくてはならない。1.5度の上昇に抑えるために各国は何か具体的な行動や政策はとっているかと。太平洋諸島からみれば、答えはNOだ。」New Climate Instituteによれば、プランさえ提出していない国もあるという。フィジーのバイニマラマ首相も、大量のCO2排出国が目標に向けての努力をしていない矛盾を指摘する。太平洋諸島の最も弱い立場にある国々は、富める国々に対して黙っているべきではない。なぜなら富める国々も遅かれ早かれ同じ道をたどることになるからだとし,フィジーの危機なのではなく、世界の危機なのだと訴えた。サモアのトゥイラエパ首相も気候変動対策を強化しており、COVID-19により気候変動に対する行動が挫かれることは許しがたいという。ナウルのエニミア大統領も気候変動は緊迫状態にあるとし、これまでと同じ道をとっていればさらに状況は悪化し、子どもたちの世代のためにも気候変動に対する行動をとるべきだと訴える。一方、COP26議長国は11月の開催を前にして、太平洋諸島の気候変動に対する行動とエネルギー転換を評価。そして、太平洋諸島の声が聞き入れられ、具体的な解決策を見つけられるように努力すると伝えた。グテーレス国連事務総長は太平洋諸島のリーダーたちと考え方を同じにしている。グテーレス氏は、世界における主要な排出国に対して排出削減の目標をさらに高めるように要請し、「長期にわたってこの問題に対処するためにはすぐに取れるアクションを実施し、人々や地球が強く望んでいる転換の時代にすぐに一歩を踏み出さなければならない。」と述べている。
(Radio New Zealand/MAR03, 2021)
https://www.rnz.co.nz/international/pacific-news/437530/pacific-commits-to-energy-transition-ahead-of-cop26