11の太平洋諸島経済を対象(ミクロネシア連邦、フィジー、キリバス、マーシャル諸島、ナウル、パラオ、サモア、ソロモン諸島、トンガ、ツバル、およびバヌアツ)とした世界銀行の半期ごとの太平洋地域経済報告よると、太平洋地域の経済は緩やかだが着実に成長しているという。コロナ後の太平洋地域の経済は緩やかな回復傾向にあり、それは今なお続いている。世界銀行のシニアエコノミストであるVashakmadze氏は「世界的な成長率の低下により、太平洋地域の成長率も押し下げられてはいるものの、その影響はそれほど大きくない」との見解を示している。世界銀行は、2024年の太平洋地域全体の成長率を3.8%と予測し、2025年には2.6%、2026年には2.8%に減少すると見込んでいる。報告書によると、2023年と2024年に5%の広範な成長を遂げるなどパラオ、サモア、トンガなどの経済は好調で、特にサモアはオーストラリアとニュージーランドからの観光と送金獲得を背景に、2023年に11.4%、2024年に9.8%となり、今年は5.3%の成長が見込まれている。しかし、気候変動による自然災害の規模と頻度が増加する中、太平洋の島嶼国は借金を増やすことを余儀なくされ、返済能力が低下し、債務が膨らむ状況に陥っているのも事実である。Vashakmadze氏は、「世界銀行は債務の持続可能性に焦点を当てて考察している」と述べ、例えば、ツバルの債務は比較的低いが、この国は自然災害のリスクが非常に高いことから、世界銀行はツバルを依然として高リスク国と分類しているという。また、持続可能性の観点から評価すると、バヌアツは警告を必要とする状況にあるという。経済市民権プログラムと消費税からの収入の減少、移転支出、支援措置、建設支出、Air Vanuatuの清算に伴う一時的な費用を含む支出の増加により、財政赤字の悪化が予想され、収入は2027年頃に回復すると見込まれているものの、同国は2025年に約1.8%の成長率低下が見込まれている。当報告書によると、太平洋地域では依然として女性が家事や介護の役割をもつ存在として位置付けられているが、今後この女性の労働参加に潜在性があると示唆している。オンライン会議で発言した世界銀行の担当者は、「女性の労働参加により、太平洋地域全体の経済成長率が長期的に22%増加する可能性がある」と述べた。(Radio New Zealand/JUN25, 2025)
https://www.rnz.co.nz/international/pacific-news/564994/slow-but-sure-economic-rise-in-most-of-pacific-world-bank
太平洋地域
【経済・社会動向】
世界銀行が「経済は緩やかだが着実に成長している」と報告(太平洋諸島)
2025.07.01