ニュージーランドは、ロシアの非公式艦隊との関連性からクック諸島の船舶登録に懸念を抱いており、その基準を改善するために専門家の派遣を申し出ている。これは、外務貿易省(MFAT)の電子メールによる情報だ。クック諸島籍の船舶Eagle Sは、2024年のクリスマス当日にバルト海でフィンランド当局により差し押さえられた。これは、同船がフィンランドからエストニアに電気を送る海底ケーブルEstlink 2を切断したとフィンランド当局が判断したためである。この船舶は、ロシア産石油の販売に対する制裁を回避しようとするロシアの非公式艦隊とも関連していると考えられている。RNZパシフィックは、2024年12月25日から今年1月14日までの間、ニュージーランド外務省とクック諸島外務・移民省の間で、当該船舶に関して送受信されたすべての通信記録を、情報公開法に基づき要求した。大幅に黒塗りにされた文書が返却され、MFATの職員から主に一方的な通信が送られてきた。その内容は、船舶登録の現状に対する懸念をまとめたものだった。そのうち在クック諸島ニュージーランド高等弁務団による1月10日付のメールには、「ニュージーランド政府は、非公式艦隊の問題についてクック諸島に再度抗議し、懸念を表明し、保証を求め、クック諸島に支援を申し出るよう指示した」と書かれていた。また別のメールには、ニュージーランドには、クック諸島が追加の支援を必要とする場合、同国の船舶登録を管理する専門家の派遣が提供できるとも書かれていた。クック諸島を含む多くの太平洋諸国は、外航船に自国の旗を掲げることで、収入を得る方法としてきた。これは、外国の企業が所有する船舶は、コスト削減や適合基準の緩和を目的として、船籍国とは異なる旗を掲げることを希望する場合がある事を背景としている。外務省はOIAに基づき公開された文書の中で、2024年11月にEagle Sがニュージーランドの国家海上調整センターが作成したリストで、コンプライアンス違反の深刻な船舶としてマークされていたことを明らかにしている。RNZパシフィックはMCI(クック諸島の船舶登録を運営する民間企業)とクック諸島政府にコメントを求めたが、同記事掲載までに回答は得られなかった。ワイカト大学の法律学教授Gillespie氏は、「情報公開法に基づき公開された文書は、クック諸島の船舶登録の信頼性に対するニュージーランド政府の懸念を示している。その一方でクック諸島は自国の船舶登録が誇れるものであることを確認するために、外部の支援を必要としているのかもしれない」と言及した。(Radio New Zealand/APR02, 2025)
ニュージーランド
【海洋問題】
情報公開請求(OIA)でクック諸島の「影の艦隊」に対する懸念を表明(ニュージーランド)
2025.04.04