太平洋地域の医療研究者は、心的外傷後ストレス障害(PTSD)の代替治療法としてのカヴァの臨床試験を2024年初めから開始する。この研究は、ニュージーランドのワイカト大学のAporosa博士が、伝統的なカヴァの使用によりトラウマ治療が促進される可能性について調査するものである。Aporosa博士はNutraIngredients-Asiaに対し、この研究はPTSD治療における伝統的なカヴァの有効性について、彼が収集した逸話的証拠を臨床的に実証するために計画されたものであると語った。彼自身の経験や、PTSDに苦しむ他の太平洋戦争退役軍人や救急隊員によると、カヴァを摂取することで、リラックスし、よく眠れるようになり、自分のトラウマについて気負わずに話せるようになったという。PTSDの治療と回復における最大の問題のひとつは、逃避である。例えば、セラピストがPTSDの原因となったトラウマ的な出来事について患者に尋ねると、その出来事を語ることで患者が過度に打ちのめされることが多い。これがPTSD患者が陥りがちな逃避のサイクルであり、このサイクルが治療や回復の妨げになるのだ。Aporosa博士はカヴァのこうした症状に対する効果に自信を持っているが、主張を裏付ける臨床的根拠のための臨床試験が必要だという。Aporosa 博士は、1)PTSD症状に対するカヴァの有効性を明らかにすること、2)有効性が証明された場合、個人で使用するための治療実践マニュアルを作成すること、3)研究結果とマニュアルを太平洋地域の主要言語に翻訳し、「知識保有者とカヴァを所有する人々に還元する」こと、の3つの研究目的を強調した。この研究は、医療研究への投資を管理する政府機関であるNZのHealth Research Councilから資金援助を受けている。英国や米国でも資金提供を申請する予定である。Aporosa博士は、カヴァのような伝統的な薬には、薬効と信頼関係という2つの利点があることを明らかにした。特に、誤解を解くためには知識が重要な役割を果たすと付け加えた。その誤解のひとつが、アメリカにおけるカヴァ・バーであり、伝統的なカヴァの使用における信頼関係や尊敬に基づく文化が理解されていないことが、その誤解を生んでいると訴える。太平洋の文化におけるカヴァの関係性の側面を人々がよく知ることで、伝統的なカヴァドリンクにまつわる口当たりの悪さの問題は改善される、と彼は言う。床に座り、大きな木のボウルでカヴァを手で混ぜ、ココナッツの殻半分で作ったカップで飲むという太平洋の文化や習慣を、未開で土着的、後進的なものと見なされていることも問題だとAporosa博士は訴え「逆に、洗練されたラベルと素敵なドリンクグラスで飲むアルコールはそれを飲むと動物のように振る舞う人がいるにもかかわらず、受け入れられ、現代的であると認識されています。」と語る。(Pacific Islands News Association/JUL27, 2023)
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カヴァに新たな光ートラウマにおけるカヴァ使用の治療可能性を探るNZの研究(太平洋諸島)
2023.07.28