国連安全保障理事会は今週、海面上昇の世界的な影響に関する初めての討論を行った。そして海面上昇は、世界中の何十億もの人々に「想像を絶する」リスクをもたらし、安全保障、国際法、人権、社会の構造そのものに深刻な影響を及ぼすとの報告がなされた。
しかし、この警告は、多くの太平洋諸国にとって目新しいものではなく、中でもツバルは長年にわたり、海面上昇のために自国の島が消滅する可能性に直面してきた。
しかし、国連の気候変動サミットにおけるツバルの警告は、まだ十分に受け止められてはいない。今回、この安全保障理事会で演説したのは、太平洋共同体の気候変動担当ディレクターであり、非政府組織Tofia Niueの代表でもあるPasisi氏である。彼女は、2050年までに、要するに「私たちの子供や孫が生きている間に」、海面上昇はほとんどの小さい島々の途上国で少なくとも1メートルは超え、その変化は数千年続くだろうと警告した。サンゴ礁の白化から海水の浸入まで、今日すでに地域社会が直面している深刻な影響を挙げ、彼女は、国際社会が気候変動を止めるための行動をとらず、責任を回避し続けていることを非難した。彼女は、「これは太平洋地域にとって最も重要な安全保障の問題です」と述べ、海面上昇に対処しないことによる安全保障上の影響は、直接、安保理の責任範囲となることを強調した。会議の冒頭、グテーレス国連事務総長は、「海面上昇の影響は、すでに新たな不安定要因や紛争を生み出している。今後数十年のうちに、低地のコミュニティ、さらには国全体が永遠に消滅する可能性がある」と警告した。
世界気象機関(WMO)が最近発表したデータによると、世界の平均海面は1900年以降、過去3000年のどの世紀よりも速く上昇している。同機関は、地球温暖化が「奇跡的に」1.5度に抑えられたとしても、地球は海水面の大幅な上昇を経験することになると警告している。特に、海抜の低い沿岸地域に住む約9億人(地球上の10人に1人)にとって、その危険性は深刻である。総会のKőrösi議長は、前回のハイレベル討論会で、世界の指導者たちが最も関心を示したのが気候変動であり、「我々の世代における最大の課題」であったことを想起している。また、80年以内に2億5000万人から4億人の人々が新しい場所に新しい家を必要とするという予測を挙げ、世界の「穀倉地帯」、特にナイル川やメコン川などの肥沃なデルタ地帯に壊滅的な影響を及ぼすと警告した。(Radio New Zealand/FEB16.2023)