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PACIFIC ISLANDS NEWS [ 太平洋諸島ニュース ]

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大統領がPIFの分裂、Covid-19と気候変動について率直に語る(パラオ)

①自由連合協定をふまえ、米国政府説明責任局(The United States Government Accountability Office, GAO)は先月、米国がミクロネシア3カ国に対する協定に基づく経済支援を終了した場合の影響についての報告書を発表した。パラオへの支援は、2024年に終了する。見直し協定では、パラオの長期的な経済的持続可能性を高めるための改革を提言することと規定されているが、これは何を意味するのだろうか。GAOの報告書で最も重要視されているのは、パラオ自体がどのように前進するかだ。パラオは30年近く、信託統治協定のもとで米国との関係を築いてきた。協定では、パラオを経済的、社会的、政治的に発展させ、独立させることが義務づけられていた。しかし、現実には小さな国であり、経済的基盤も小さいため、完全な独立は容易ではない。米国は安全保障や防衛面でパラオを必要としており、関係継続の必要性がある。COVID以来、我が国(パラオ)の総債務残高はGDPとほぼ同額となり、年金基金もGDPと同規模の借金を抱えている。米国と話し合う必要があるのは、防衛的安全保障だけでなく、経済的安全保障や経済的回復力であり、それが今後の課題となる。
②COVID-19対策については、パラオは、残念ながら、もはや後進国だ。パラオは世界銀行から補助金を得て下水道、通信システムなどのインフラ整備に充てている。2021年に感染拡大で労働者の30%が失業した。経済の半分が観光に依存しているためだ。そこで、ADBから融資を受け、2024年に支払いを開始することになっている。重要なのは、経済的に負のスパイラルにはまっている今、最善の道をナビゲートしてくれるパートナーシップを持つことだ。
③海洋会議を1ヵ月後に控えて、私たちはフル回転している。約60カ国、できればもっと多くの国が参加できることになり、とても期待している。直接相対しての会議にしたい。太平洋地域の国々が参加することも重要だ。4月までにCovidの問題が解決され、全員が参加できることを望む。海を守るだけでなく、海を持続的に管理し、人々のために豊かな未来と経済的な回復力を築くための強力な政策を打ち出すことが重要だ。この会議は、私たちが子供たちに希望を与えるために、コミットメントすることを目的としている。
④太平洋諸島フォーラムに関して言えば、プナ事務局長に対する個人的な恨みではないことをはっきりさせておきたい。本当に主義主張の問題で、ミクロネシアの立場から言えば、ミクロネシアの番であり、それ以下のことは受け入れられないということを、私たちは明確にしたのみだ。選出が多数決で決定されたことで、太平洋を一つにまとめるというビジョン、コンセンサスを築き、信頼のもとに仕事をするというビジョンが崩れたことは明らかだった。それが軋轢の始まりだった。海洋会議では、太平洋地域のリーダーのほとんどがここに集まり、(直接会うのは久しぶりなので)お互いをよりよく理解することができる、という一つのチャンスだ。多くの太平洋地域のリーダーがここに集い、お互いに連絡を取り合い、強い関係を築くことができればと願う。
⑤パラオの新しいデジタル・レジデンシー・プログラムは、暗号空間や他のタイプのFinTech、そして最終的にはパラオに居住する企業登録された企業など、お金を投資できるようにしたい人々を惹きつけることができるエコシステムを構築するためのきっかけだ。パラオには、借金をしてまで導入した光ファイバーケーブルが2本ある。インフラがある以上、その周辺にあるビジネスや開発の機会を生かしたい。デジタルレジデンシープログラムは、パスポートとは異なり、バックグラウンドチェックを実施し、有効なのは1年間、しかも悪質な行為があれば、プログラムから外されることとなっている。現在800人がサインアップしている。リスクは常にあるが、そのリスクを軽減するためにできる限りのことをする。詐欺的行為を排除し、国民とデジタル住民を守るためのエコシステムをどのように構築するかが重要だ。
⑥安全保障は国民にとって非常に大きな関心事だ。アメリカは防衛のためにパラオに大きなレーダー基地を設置しており、パラオでは、新しいレーダーサイトが設置されたことで、アメリカは何を目指しているのかということが話題になっている。おそらく、他の国々との協力関係を強化することで、米国が「標的」にならないようにしているのだろう。アメリカにはこの協議にしっかりと目を向けてもらい、私たち全員にとってより良い未来をナビゲートしてもらいたいと願っている。
⑦気候変動に関しては、私たちは毎日その問題に直面している。海面上昇は今や人々のリビングルームにまで及び、干ばつは災害を引き起こし、政府は事態を収拾するために借金を重ねている。そして台風が来ると、政府は台風による被害を修復するために再び借金をする。さらに、土砂崩れを引き起こすような大雨が降ることもある。今後50年間で40パーセントの魚類資源が失われると予測されている。また、サンゴ礁の白化現象や、観光の目玉であるクラゲも、異常気象に見舞われると姿を消してしまう。今、私たちは、人間の選択によって、島が消滅するリスクを抱えている。私たち島民は、自分たちの役割を果たすとともに、全世界の人々に自分たちの役割を果たすよう求めることが、本当の意味での義務だと思う。なぜなら、もし私たちが自分の役割を果たすだけで、0.03%しか貢献できないのであれば、変化をもたらすことはできないからだ。世界の大国が責任を負う必要があり、今こそ、大国に責任を持たせるべき時だ。汚染をしたなら代償を払う必要がある。グラスゴーでマーシャル諸島のカブア大統領が、「先進国に対して、今、真剣に変化を始めなければ、私たちは消えてしまうということを印象づける必要がある」と述べたのを聞いて、胸が締め付けられた。私たちは正しい選択をし、二酸化炭素の排出を減らし、人々や地球、そして私たちの持つ文化や歴史を守る手助けをすることができるのだ。(Radio New Zealand/MAR29, 2022) https://www.rnz.co.nz/international/pacific-news/464160/palau-s-president-fronts-up-on-pif-rift-covid-19-and-climate-change