米国は、自分たちが太平洋諸国の一員であることを主張し、太平洋地域の他の国々との関わりを深めるための一連の新しい戦略を発表した。米国ブリンケン国務長官は、国務長官として約37年ぶりにフィジーを訪問した。この関与政策の目的は、太平洋における中国の影響力の増大に対抗するため、米国のプレゼンスを強化することにある。オーストラリアで開催された日米豪印外相会合 (QUAD=日本、米国、オーストラリア、インドの4カ国で安全保障や経済を協議する枠組)に出席後フィジーに8時間ほど立ち寄ったブリンケン国務長官は、気候変動対策のための資金調達、軍事その他の交流イニシアティブ、ソロモン諸島での新しい大使館の計画など、さまざまな外交活動を発表した。このようなアメリカの再関与は、太平洋地域における中国の影響力の増大に直接対応するものだ。2006年以降、中国の太平洋地域への貿易と対外援助は大幅に増加している。2011年から2017年の、中国の援助はまだ全援助の8%に過ぎないが、(The Lowy Institute調べ)、多くの太平洋島嶼国政府は、大規模なインフラ開発のために中国から無利子での融資を受けている。「中国の支配と侵略は世界中に及んでいますが、インド太平洋地域で最も深刻です。オーストラリアへの経済的支配、インドとの境界線上の紛争、台湾への圧力の増大、東シナ海や南シナ海での近隣諸国へのいじめなど、この地域の同盟国やパートナーは、中国の有害な行動に多大な迷惑を被っている。その過程で、中国は、人権や航行の自由を含む国際法、さらにはインド太平洋に安定と繁栄をもたらしてきたその他の原則をも台無しにしている。」と影響力を拡大している中国についてブリンケン国務長官は述べた。ブリンケン国務長官は太平洋地域について、太平洋を未来の地域と認識しており単なる安全保障上の懸念を超えたものであるとしている。世界のGDPの60%がこの地域にあり、世界の人口の50%がこの地域に暮らす。米国の政策は民主主義と透明性を利用して、「ルールに基づく秩序」を約束する自由で開かれたインド太平洋を構築することだと主張した。また、経済面では、ASEAN、APEC、太平洋諸島フォーラムとの協力関係を強化し、地域内でのパートナーシップや同盟関係を構築していく意向を示した。また、ブリンケン国務長官は、米国は気候変動と環境悪化の影響に対するこの地域の脆弱性を軽減することにコミットすると述べた。安全保障に関しては、米国が世界の他の地域で結んでいる同盟関係から得られる力が、太平洋諸島にもたらされることを期待できると述べている。(Radio New Zealand/FEB13, 2022)
https://www.rnz.co.nz/international/pacific-news/461407/us-announces-deeper-engagement-strategy-to-match-china-in-the-pacific
太平洋地域
フィジー
【経済・社会動向】
【中国・台湾進出動向】
米国が太平洋地域への深い関与政策を発表ー対中国(太平洋諸島)
2022.02.18