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PACIFIC ISLANDS NEWS [ 太平洋諸島ニュース ]

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太平洋諸島フォーラム新事務局長 連帯の大切さを強調(太平洋諸島)

太平洋諸島フォーラム(PIF)の新事務局長、ヘンリー・プナ氏は卓越した地域グループの形成を目指して島嶼国の連帯と統一に注力すると述べた。就任後初の記者会見で、プナ氏は彼の就任に抗議してミクロネシア5か国が脱退を表明した件(各地域が交代で事務局長職に就くという紳士協定では、今回はミクロネシアの順番であったはずと抗議しての脱退表明)について触れ、パラオ、マーシャル諸島、ナウル、キリバス、ミクロネシアをどのように引き戻すか再検討が始まっているとした。
オンラインで実施された記者会見では、上層部での政治的対話が実施されており(フォーラムの幹部が極秘で実施)、プナ氏自身は直接的に関与はしていないとした。プナ氏は将来的にも一致団結できるのが一番望ましい形だとしている。一方、気候危機とコロナウィルス対応が現在最優先の事柄だとした。
気候変動ですでに弱い立場にある人々にとって感染拡大は非常に深刻だとし、「太平洋諸島が直面している最も深刻な問題が気候変動であり、予定しているCOP26において、世界がパリ協定に基づいて我々が規定している環境に関する取り組みに賛同してもらうことに焦点を当てる必要がある。話し合いは十分行われたので、これからはそれを実行していく必要がある」と述べた。オーストラリアとの間にある化石燃料依存に関する問題については、プナ氏は比較的前向きなトーンで以下のように述べた。「オーストラリアは太平洋諸島フォーラムの一員であり、様々な論議の末にKainaki宣言が批准されたことは環境問題がCOP26に向けて一歩前進したと考えて良い。」またプナ氏は環境問題の1つとして太平洋地域における深海採鉱活動についても触れたが、この件については態度を明確にしておらず、現在検討中で、地域としての立ち位置を早急に明示したいとしている。一方で、それぞれの国の主権にも配慮していくべきであるとも述べた。プナ氏の前任者であるテイラー氏は、太平洋諸島における外部からの影響に関して警告を発していたが、プナ新事務局長は外部の大国が地政学的な見地から太平洋諸島における影響力を増していることにいら立ちを感じているかとの質問を受け、以下のように答えた。
「この地域で地政学的な駆け引きが行われていることは意識しているが、それに引きずられず、この地域にとっての優先順位にきちんと目を向けたい。」つまり、開発支援に関しては太平洋諸島は常にオープンにし、この地域で米中の対立は存在するものの、それぞれのパートナーと話し合いの上実施していくことが我々の優先順位であるとした。また、この地域のフランスの影響、特に仏領ポリネシアとニューカレドニアの独立に関しては、仏政府による政治的な圧力は見られないとし、今後もこの地域への政治的介入は無い事を期待しているとした。
プナ氏はミクロネシアの国々の名前を挙げ、太平洋諸島フォーラム内部における問題について触れた一方で、日本も名指しでその核処理水の海洋放出に関しての回答を求めている。この件は非常に重要であり、IAEAの幹部とも話し合いを持っているがまだ解決されるべき事柄があると太平洋島嶼国は認識しているとした。太平洋諸島では核実験が実施されるなど、核の負の遺産があり更なる核汚染はこの地域の安全と人々の健康への脅威であり、科学的な見地からの情報の全面開示が必要であると述べた。(Radio New Zealand/JUN24, 2021)
https://www.rnz.co.nz/international/pacific-news/445382/new-head-of-fractured-pacific-forum-stresses-unity
Kainaki宣言
2019年8月に行われたPIF総会の首脳宣言の付属文書として合意された宣言。同年の国連気候アクションサミットやCOP25に太平洋島嶼国が関与するに当たっての分野や考え方をまとめたもの。「青い太平洋による喫緊の気候変動行動要求」として、パリ協定の1.5度目標を踏まえた目標設定や、化石燃料からの公正な移行、気候資金や技術支援の更なる拡充等10項目を挙げている。