中国はオーストラリアがパプアニューギニアのDaru島に建設を計画している魚加工工場を一笑に付すこととなった。中国のZhonghong魚加工工場はPNG政府との間でDaru島に15,400万ドルを投じて工場を建設するという覚書に調印した。この加工工場は、PNGの南の国境からわずか数キロメートルしか離れていないために、オーストラリアのメディアの注目を集めることとなった。Daru島自体、オーストラリア本土からわずか200キロで中国がそこに港を建設するかどうかに関して、オーストラリアは神経をとがらせている。PNG政府の顧問であるオーストラリアのWall氏は、中国の存在が紛争を巻き起こす可能性があると警告。また、クイーンズランド議会のEntsch氏は、中国の隠された動機に疑念を抱いている。中国側は、オーストラリアの報道が事実無根で中国とPNGの実務的な協業に対して横やりを入れているとし、2国間の協力に関しては第三国の同意などは必要ないと主張する。これらの一連の動きに対してDaryの人々はどう見ているのかだが、彼ら自身、開発の内容について具体的に知らされておらず、DaruのソーシャルワーカーのWainetti氏は政府がこの計画に関して地元民との話し合いを持たなかったのは失敗であると述べた。人々はすべてを理解する必要があるのにもかかわらず、本当に何も知らされていないのだと訴える。この大きな工場のおかげで地元の漁業や沿岸に暮らす漁師らがやっていけなくなるのではないかと懸念を表明している。この協定のもと、すでに、中国の人々がオーストラリアとの領海近くで漁をしているからだ。Daruは貧困率が高く、若者であってもほとんど就職先がなく、この地域で漁業を盛んにするには相当の努力を要するため、中国の魚類加工場は地元民に仕事を提供し、中小企業が収入を得られるようになると中国側は主張している。他方、この中国の進出が隣国のインドネシアからの小さな船でやってくる密猟に歯止めをかけるという見方もある。そもそも、この地域のPNGの国境警備はかねてからそれほど厳格ではないのだ。このSouth Fly地区の人々はこれまで漁業を生活の糧としていたが、Fly川の金鉱と銅鉱からの汚染により収入が経たれ、経済的な発展を望んでいる。オーストラリア政府はこの地域のために努力をしてきたが、ここでの経済発展を築く上での大きな役割においては今回の中国のやり方にしてやられた感がある。現在、Daruの大きな店はほとんど中国の店で、これからますます中国人が流入してくるだろう。また、漁業を営む中国人もいるという。
今回のこの覚書協定がPNG自身で漁業資源を展開させられるようになるきっかけになり、地元民もその恩恵にあずかれるようになるとこの計画は成功したと言えるのかもしれない。
(Radio New Zealand/DEC19, 2020)
https://www.rnz.co.nz/international/pacific-news/433180/chinese-cast-net-over-neglected-png-border-zone
パプアニューギニア
【海洋問題】
【中国・台湾進出動向】
顧みられなかった国境地帯に網を張る中国(パプアニューギニア)
2020.12.25