これまで太平洋諸島はひどい伝染病に何度も襲われてきた。今回、太平洋諸島のいくつかの国では、新型の未知なコロナウィルスに対して厳格な対応策をすでに取り始めている。
WHOは太平洋地域でコロナウィルスが流行する危険性は低いとしてはいるが、はしか、デング熱、インフルエンザ、ポリオ、など次々に伝染性の病気との闘いを強いられてきたこの地域においては、厳格な対応策をとらざるを得ない。
サモアでははしかの流行により、子供を中心に83名が亡くなってからまだ1ヶ月しかたっていない。緊急対処法として、24日にサモアに入国する人は全員(ニュージーランドからも含めて)出国前に医療機関に受診して異常がないことを確認しなくては入国できないこととした。また、中国から帰国(または経由)した人がコロナウィルスに感染していないと判明するまで14日間隔離することも規則として定めた。空港脇のFaleolo病院が隔離施設とされ、コロナウィルスの感染は確認されていないが、サモアの船員が現在そこで隔離されている。これまでに6名の中国人が新たな規制の下拘束され、ナンディへ送還された。サモアのトゥイラエパ首相は、28日に報道関係者に対してこの規制に関してはすでにニュージーランド、フィジー、オーストラリア、アメリカンサモアに通知したと述べた。「いくつかの国からは反対意見があるものの、この規制は無くせない。これは予防措置であり、コロナウィルス感染者を出したくないためだ」と首相は述べた。強硬な制限を設けたのはサモアだけではない。パプアニューギニアは28日遅くにアジア諸国からの旅行者の入国を禁じた。アジア諸国から帰国する市民や住民は2週間隔離され、インドネシアとの国境も閉鎖される。デング熱の流行と6ヶ月以上戦っており、なお、悪化しているマーシャル諸島健康省のNiedenthal氏は、国境は閉鎖されたと述べた。「コロナウィルスは人から人へと伝染するようで、確認できるのは空港での熱の検査で、これは、はしか対策としてすでにやっている。この6ヶ月が大変だったので、今回もまるで戦争で戦っているようだ。」と述べた。パラオでは政府は中国本土、マカオ、香港からのチャーター機の受け入れを2月末まで中止するとした。バヌアツは同様な策を検討中で、クック諸島は中国からの帰国者に対して検査を実施している。トンガへの旅行者は健康チェックシートの記入が必要であり、フィジーは空港での検査を強化した。
仏領ポリネシアでは政府は中国籍の人に対しての就労許可居住許可の発効を停止するとした。29日の時点で、日本やニュージーランドを経由してアジア諸国から入国する人に対して、15日前以降の健康証明書の提示を課している。海で囲まれている太平洋諸島は、これらの措置によりウィルスの伝染が押さえられるとみられ得るが、WHOは、各国独自の危機予測を立て、規則や規制を実際に運用する前に公衆衛生や経済への影響も考えて欲しいとした。コロナウィルスについてはまだよくわかっていないがすでに中国では100名以上が死亡し、罹患者は世界で4000人を超えている。症状が現れていなくても潜伏中に感染させる可能性もあるとのことだ。
また、先進国であるオーストラリア、ニュージーランドからの支援も必要だとしている。ニュージーランドでのはしかは何百人という子供の間で流行したが、死者は一人も出なかった。一方、明らかにニュージーランドからはしかが伝染したサモアでは、とてもひどい結果となってしまった。太平洋諸島地域は、旅行業と海外とのビジネスに大きく依存してはいるが、今回のコロナウィルスに関しては各国重く受け止めているという。(Radio New Zealand/JAN26, 2020)
太平洋地域
【経済・社会動向】
コロナウィルスに対して厳格な対策を取る(太平洋諸島)
2020.01.30