太平洋諸島の首脳陣は妥協することも、奇跡を期待しないことも知ってはいるものの、今回のサミットの結果は彼らにとって苦々しいものだった。
太平洋諸島の18カ国の首脳は、気候変動のための緊急な対策をとるべきだとする文言に距離をおく国々の代表と深夜にまで及び話し合いをした。しかし、最終の声明が出される前に、記者会見が迫り12時間に及ぶ会議は混乱のうちに終わりを迎えた。
最終的に首脳たちは、共同声明と、気候変動に関する別々の声明といった形で合意をして、共同声明は小さな国々からの宣言という但し書きを添えることで8月13日に発表された。
この宣言は気候変動危機を宣言したツバルを含む太平洋諸島の9カ国に支持されており、石炭使用の即時中止と、1.5度上昇までとする排出規制、国連緑の基金の強化を求めている。但し書きということは、すべての国がこの宣言に賛成を表明していないことの表れである。ツバルのソポアンガ首相によれば、オーストラリアは太平洋諸島と気候問題に関する立場を相変わらず異にしており、スコット・モリソン首相が共同声明に連なることを拒否したために、太平洋諸島の小国の声明となったと説明した。
一方オーストラリアは別の気候変動に関する声明を共同声明に結びつけ、ほかの国々と共同で気候変動に対応すること、化石燃料依存から脱却のための予算や、1.5度の目標への努力についても触れている。しかしこれは、太平洋諸国の声明に比較して文言が曖昧な印象だ。モリソン首相は「太平洋諸島においては、気候変動の影響は論理ではなく事実であり、今ここにある危機だ。」と述べ、この問題に共同で対処していく姿勢を示したが、石炭に関しては、オーストラリアは2050年までに排出をゼロにするという目標数値を取り入れられなかった等、その他の国々にとって、特に、10年以上この太平洋諸島フォーラムサミットに欠席していたフィジーのバイニマラマ首相にとってはこの結果は満足からほど遠いものだった。今回のサミットではこの他、サモアの太平洋復興施設を設立、太平洋諸島フォーラムの国々の今後50年の計画素案、核の問題、領海交渉と座礁船の引き上げなどについても話し合われた。今回のサミットが気候変動に関してこの地域が一枚岩になることの望みを託していた気候変動で現に脅かされているツバルのソポアンガ首相は記者会見で、「人々のためにもっと何かできたはずだった」と述べ、落胆を隠せなかった。(Radio New Zealand/16AUG, 2019)
太平洋地域
【環境・気候変動】
我々はもっと人々のためにするべき事があったー太平洋諸島フォーラムサミットの苦い後味(太平洋諸島)
2019.08.23