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国境なき医師団 難民の救出を要求(ナウル)

国境なき医師団は、ナウル政府が突然、難民や現地民への精神的疾患に対する治療を打ち切るとした発表を強く非難し、シドニーで記者会見を開き、「この急な打ち切りによる患者たちの今後を大変憂慮している。難民たちは絶望的な状況と環境におり、我々は直ちに彼らがナウルからより安全な場所へ救出されることを望む」と医師団の豪州地区理事長であるPaul Mcphun氏は記者たちに対して述べた。
子ども約90名を含む約900名の難民がナウルですでに5年以上も暮らしている。国境なき医師団からは2名の精神科医と1名の心理学者及び他2名の医療関係者が派遣されている。ナウル政府の決定がどうであれ、この打ち切りは当初の取り決めである、双方の合意に基づく3か月前もっての通知が必要という内容とは相違があるという。
Mcphun氏は「これまで実施してきた活動をたった2,3日で打ち切ることは不可能であり、かつ医療的に無責任であり、国境なき医師団の責任放棄ともいえ、このようなことはいまだかつてしたことがない」とも述べた。
「ナウルの病院には臨床心理士もいない。ナウル人の患者を診る看護師だけがおり、彼女が最善を尽くすしかない。病院は1人の常駐精神科医を雇っているが、英語も話せない。患者と意思疎通をするための通訳もいない状況だ。」と関係者は述べる。そのうえ、病院にはこうした精神疾患の患者が入院できるためのベッドもない。結果的にナウル政府は、自殺をしようとした人を拘置所にいれているばかりか、一般の病人も重症となるとナウルでは治療できない状況にある。医師団の精神科医は情緒不安定、うつ、トラウマ、ストレスなどで、自殺を試みたり自傷行為に及ぶナウルの難民の治療にあたってきた。自殺を試みた患者の中には、9歳の子供もおり、圧倒的な絶望が難民を覆っているという。(Radio New Zealand/OCT 11, 2018)