Trump大統領の外交代表として、ニュージーランド、ニウエ、クック諸島、サモア担当の米国大使候補は、億万長者で実業家のNovelly氏である。同氏は以前シドニーを拠点として活動していたこともあり、オーストラリアのバスケットボールリーグチームIllawarra Hawksのオーナーでもある。2025年3月時点で、同氏の一族の純資産は12億ドルともいわれている。約1年に及ぶ承認手続きの終盤に差し掛かり、同氏は上院外交委員会で初めて質疑を受けた。その際、彼は大使としての最優先課題として、①「自由で開かれた太平洋」の推進、②米国防衛プレゼンスの拡大、③特に重要鉱物分野におけるビジネス機会の拡大の3点を挙げた。そして、「大統領の政策課題を推進するうえで、ニュージーランドほど優れたパートナーはおらず、同国政府はこの地域およびそれ以外の場所で我々の目標を一貫して支持している」と述べた。Novelly氏は、太平洋における中国の存在感について強い懸念を表明しており、特に2025年2月に中国海軍がタスマン海で実施した海軍演習に言及した。これに関して、同氏は「太平洋地域における憂慮すべき、さらには不安定化させる行動」と表現し、こうした中国の動きに対抗するため、米軍プレゼンスの拡大が必要であるとした。同氏は、サモアが中国からの開発融資を受け入れる際に慎重な姿勢を取っていると評価していて、「サモア政府にはこの姿勢を継続してほしい。主権を損なうような取引を強いられることが決してないようにしてほしい」と述べた。また、Trump政権は重要鉱物分野への野心を隠さず、太平洋深海の海底資源を巡っては中国との新たな競争が生まれている。同氏は上院外交委員会において、「私が最も衝撃を受けたことの一つは、世界のコバルトの大半がアフリカのコンゴ民主共和国で採掘され、中国で精製されているという事実であった」と述べた。同氏はクック諸島の海域には世界最大級のコバルト鉱床が存在する可能性があると指摘し、「クック諸島が排他的経済水域(Exclusive Economic Zone:EEZ)を開放し、観光中心の産業から鉱物資源開発へと拡大しようとしていることは、米国にとって極めて大きな機会となる」と話す。Trump大統領が重要鉱物を米国国家安全保障の問題と宣言する大統領令に署名してから約2ヶ月後、Novelly氏は「海は太平洋島嶼民にとって神聖な存在であり、クック諸島が責任ある方法でこれを開発できると考えているなら、それが適切な視点だと思う」と述べた。この命令では、国際規制機関を経ずに公海での海底採掘許可を米国が発行する可能性が示唆されていて、命令文には「満足のいく合意が迅速に成立しない場合、関税などの輸入制限を課すことが適切となる場合がある」と書かれている。Trump政権発足以降、太平洋島嶼国のEEZへのアクセスを巡る外交活動は急速に活発化している。特に高価値鉱物を含む海域として知られるClarion-Clipperton海域周辺のクック諸島とトンガが注目されている。クック諸島の場合、米国との正式な外交関係が2023年9月に始まり、先月には「重要鉱物研究およびサプライチェーン安全保障のための戦略枠組み」が発表された。この法的拘束力のない協定では、両国が共同で資源調査を行い、「米国・クック諸島作業部会」の下で投資家や請負業者との初期交渉を開始することに合意している。同氏はこのパートナーシップをすべての関係者に利益があるとして評価している。ただし、クック諸島は1年前に中国とも類似の資源開発協定を締結しており、論争が生じている。同氏は「クック諸島との強力なパートナーシップは、強固なサプライチェーンを意味する。私は、海底鉱物資源の責任ある開発を促進するため、地方当局との協力を拡大したい」とし、現在は正式な任命に向けて上院承認を待っている。(Radio New Zealand/MAR10, 2026)
https://www.rnz.co.nz/international/pacific-news/589143/minerals-and-military-incoming-us-ambassador-spells-out-vision-for-nz-and-pacific
太平洋地域
【経済・社会動向】
新任米国大使候補、ニュージーランドと太平洋への構想を説明(太平洋諸島)
2026.03.17