サモアの約40%の世帯が、健康的な食事を経済的に維持できていないこと、そして、その一因はサモアにおける物価高と健康的な食品を手に入れにくい状態にあることが、国連世界食糧計画(WFP)とサモア農業省の「食費分析報告(Cost of the Diet Analysis)」によって明らかとなった。当報告によると、サモアの伝統的食文化から輸入加工食品への移行により、同国で「栄養危機」が進行していると指摘がある。この分析では、サモア統計局の食品価格データとWFPの拡張最適化ツールを用いて、6人家族世帯の栄養ニーズを満たすことができる最低コストの食品バスケットをモデル化した。報告書によると、一部の食料はカロリーが高くても、健康、成長、回復力に不可欠な栄養素が不足していることが多い。分析では、サモアの栄養価の高い食事(エネルギーと栄養素の両方を提供する)は、基本的な食事の4倍以上のコストがかかるとされた。その結果、サモアの世帯の40%以上が健康的な食材を買う余裕がないということになる。また、報告書ではサモア人女性の80%近くが肥満に分類され、同国における死亡の70%以上が非感染性疾患(NCDs)に関連していることも指摘されている。サモア農業省のTauati博士とWFP太平洋事務所のBah氏は、「栄養がある食事を家族全員が摂るには、1日WST50(約US$18)必要であり、これでは多くの家庭に余裕がない」と述べた。Seuseu博士とBah氏は、「この報告書はエビデンスに基づいた協力的な行動のためのロードマップを提供している」と述べた。そして、「第一に、栄養価の高い食品をより手頃な価格で入手できるようにすること。第二に、学校と地域社会を活用すること。特に学校給食プログラムは、栄養を念頭に置いて設計されている場合、子供や青少年の健康的な食生活のコストを大幅に削減することができる。最後に、地域社会に根ざした解決策が不可欠であること。栄養は国民全体の責任である。基本的なコミュニティ菜園を設けるだけで、家庭用だけでなく、地元の市場への農産物の供給を増やすことができ、生産者と消費者をつなぐことができる。家庭菜園を始めて主食や野菜、ハーブを栽培し、それを近所の人たちと共有するといった簡単なことでも、健康的な食生活のコストを削減し、家庭料理に付加価値をつける上で大きな効果がある。」と提言した。(Radio New Zealand/OCT21, 2025)
https://www.rnz.co.nz/international/pacific-news/576517/more-than-40-percent-of-samoan-households-unable-to-afford-healthy-diets-report
サモア
【経済・社会動向】
40%の世帯が健康的な食事を維持できていないと国連世界食糧計画(サモア)
2025.10.28