フィジーの初代首相Ratu Sir Kamisese Maraの息子であるRatu Tevita Mara(通称Roko Ului)は、LauのNayau島とLakeba島で行われた2つの盛大な式典で酋長に昇格した。7月17日、数千人とも言われる群衆を前に、新たに戴冠した酋長が戦士、宗教家、高官からなる側近を従え、Tubouの教会から厳かに歩き出した。静寂が広がり、鳥のさえずりとそよ風、そして周囲の動きの音だけが聞こえる状況であった。正式な作法として、観衆は完全な静寂を保ち、3時間じっとしていることが求められる。2011年、元軍将のRoko Uluiは当時のBainimarama首相が反逆罪で裁くことを要請したために、トンガに亡命した。トンガ王室は、Roko UluiをNuku'alofaの宮殿に匿い、Roko UluiはTupou VI世の顧問として働いていた。2022年12月にRabuka首相政権が誕生し、Roko Uluiは2023年にフィジーに戻ることができた。そして、今では将来的に政界入りして、首相になる可能性も十分あるとの予測もある。ビクトリア大学のアジア太平洋プログラム・マネージャーであるRaivoka氏によれば、静寂はフィジー文化の重要かつ象徴的な部分だという。静寂であることはフィジー人の精神に刻み込まれており、様々な儀式の際に求められ、守られているという。また、同氏は、こうした文化は彼らにとって生活の一部であり、『歴史』ではなく、今日も実践されている。そして、先進国の人々は、文化的および現代的な世界が互いに補完し合っていることを理解しておらず、この2つは同等に尊重されるべきである。」と述べた。7月15日の儀式で、Roko Uluiは華麗な礼服を脱ぎ、砂に掘られた特別な塩水池にて全裸で 「水浴び」をした。Roko Uluiは真っ赤なスラ(巻きスカート)と白い長袖シャツ姿で現れた。Raivoka氏は、「この習慣はキリスト教の洗礼と類似しており、精神的な浄化の一形態である」と説明した。酋長として「任命」されるプロセス全体は、先祖とのつながりを作ることであり、村の人々が特定の役割を果たせるようにすることである。酋長はもはや個人とはみなされず、民族、バヌア(土地)、環境、そして他の部族や国とのつながりを擬人化した存在となる。(Radio New Zealand/JUL13, 2025)
https://www.rnz.co.nz/international/pacific-news/566662/a-ceremony-of-silence-echoes-of-mana-and-a-chief-s-ascent
フィジー
【芸術・文化・スポーツ】
静寂の儀式のうちに新酋長誕生(フィジー)
2025.07.22