国連人権理事会は10月5日、マーシャル諸島における核実験の負の遺産を検証するための対話を開催した。同諸島を代表する人々は、同諸島が世界でも最も高い癌発症率を記録していると述べた。国連人権事務所(OHCHR)の調査により、1946年から1958年にかけて米国政府がマーシャル諸島で行った67回の核実験により、地域社会が移住を余儀なくされ、放射性物質による陸上及び海洋汚染が引き起こされたことが明らかになった。OHCHRはワークショップや協議を通じて、核実験による放射線被曝が「がんの多発、流産や死産の辛い記憶、そしてマーシャル諸島の一部の人々に『クラゲのような赤ん坊』と呼ぶ、皮膚が半透明で骨のない状態で生まれてくる新生児」を引き起こしていることを把握した。OHCHRは、マーシャル諸島先住民の広範囲にわたる移住を目の当たりにし、それが埋葬の慣習を含む彼らの文化継承の断絶に繋がっていることを確認した。OHCHRのAl-Nashif 氏は核実験の遺産が人権に与える影響は、既知のものや簡単に数値化できるものだけにとどまらず、測定不能な苦痛や、依然として不明な事実にも根ざしていると述べる。そして、「マーシャル諸島における核実験の教訓は、全世界にとっての教訓である。なぜなら、核実験の影響を受けた地域やコミュニティ、国は他にもあり、現在も影響を受け続けているからだ。」と訴えた。さらには、島々から移住させられた人々が、40年以上にわたって健康な歯や骨髄、その他の身体部位を「研究目的で研究所に保管するため」に摘出する医療検査プログラムの対象となったことについて、こうした多くの被害を是正するためには、「真実を明らかに」し、米国の核実験計画に関する事実記録の空白を埋めることが、正義、説明責任、賠償及び和解の鍵であると主張した。(Pacific Islands News Association/OCT07, 2024)
マーシャル諸島
【環境・気候変動】
【経済・社会動向】
国連人権理事会、核実験の負の遺産を検証(マーシャル諸島)
2024.10.11