"先週の太平洋諸島フォーラム首脳会議は、中国が台湾への言及を削除するよう会議コミュニケの変更を要求したため、波乱の幕切れとなった。同文書では、1992年以来開発パートナーである台湾との関係を再確認することが言及されていた。これに対して中国の銭博太平洋大使は激怒し、文書は書き直された。RNZ Pacificは、マッセー大学の講師であるAnna Powles博士(安全保障研究)に、この件についての見解を尋ねた。
Anna Powles博士(以下AP);中国が大使の銭博氏を通じて、1992年の太平洋諸島フォーラムと台湾の開発パートナーとしての合意を再確認する第66節を盛り込んだことに強く反応したことは、驚くべきことではない。ただし、外部勢力が太平洋諸島フォーラムに与える影響力の大きさについては、深刻な疑問を投げかけている。
Don Wiseman(以下DW):台湾をめぐるフォーラムへの圧力はかなり以前からあったと記憶しているが、今回のようにいとも簡単にその圧力に屈してしまう事は驚きであった。
AP: 私もそう思う。中国が台湾にさらに圧力をかけるためにフォーラムを利用しようとしていることを反映している。台湾は現在、太平洋上にパラオ、ツバル、マーシャル諸島の3つの同盟国を残している。太平洋諸島フォーラムは、中国がフォーラムに「一つの中国」政策を採用するよう働きかけをしてきたが、しばらくの間、中国を抑えることができていた。フォーラムは、加盟国の多くが台湾を承認していることを根拠に反発してきたが、台湾の同盟国の数が減少するにつれ、それはますます難しくなっている。Maneleソロモン諸島首相は、台湾が非主権国であることを理由に、台湾が開発パートナーであるという事に問題提起をした。ソロモン諸島が来年太平洋諸島フォーラムを主催するという事もあるからだろう。
DW:不思議でならないのはナウルなどの国々は、以前から台湾による莫大な金額の支援を受けていたにも関わらず、そのことをすっかり忘れているように見えることだ。特に最近ではキリバスが中国との国交にとても熱心であるように見える。
AP:先週のフォーラムで、台湾と太平洋諸島フォーラムは、台湾から太平洋諸島フォーラムに追加資金を提供するという新たな協定に署名したことも注目に値する。台湾はこの地域の開発パートナーであり、これまでも長い間そうであった。来年はソロモン諸島がフォーラムを主催し、2026年にはパラオが主催することになる。ミクロネシアの加盟国がフォーラムからの脱退を求めたような分裂が、このような地政学的な駆け引きの結果として再び起こることは避けたいと考える。
DW:現時点で、先週起こったフォーラム会議の幕切れについてオーストラリア政府、アメリカ政府はどのように考えているのだろうか。
AP: 中国がコミュニケから66項を削除したことで、事実上、中国の思い通りになったという見方だ。フォーラム事務局自身は、コミュニケがオンラインにアップされたのは誤りであり、合意された内容ではなかったと述べている。どのようなプロセスでこのようなことが行われたのか、まだ透明性に欠けている。(Radio New Zealand/SEP4, 2024)
太平洋地域
【中国・台湾進出動向】
中国の影響力に大きな懸念-安全保障専門家がPIF台湾コミュニケの不手際を指摘(太平洋諸島)
2024.09.09