ローウィ・インスティテュートが8月21日に発表した調査報告書『太平洋島嶼国におけるグレート・ゲーム』において、「島嶼国は大国間の競争を活用し、開発利益を最大化するために厳しい交渉を行っている」ことが明らかとなった。そして、報告書では、「歯止めのきかない戦略的ライバル関係」が良好なガバナンスと透明性に脅威をもたらしていることを明らかにしている。こうしたことから、太平洋島嶼国が気候変動、汚職、政情不安、パンデミック後の債務苦境、急速な人口増加の影響に対処する上で、さらに問題を複雑化させる可能性がある」と同研究所は述べている。報告書では、中国が外交関係、インフラプロジェクト及び開発資金を通じてその勢力を拡大する一方で、オーストラリアや米国といった伝統的なパートナーは影響力の維持に努めているとしている。報告書の主な調査結果は以下の通りである:
●太平洋の地政学的状況は、ますます競争的かつダイナミックになっている。政治・開発パートナーとしてのオーストラリア、米国、ニュージーランドのこれまでの優越性は、中国によって脅かされつつある。いずれの国も、この地域の地理的、外交的、天然資源的特性を認識し、競争相手の野心を挫く一方で、自らの権益を最大化したいと考えている。
●太平洋は、政治的、経済的、安全保障的状況を混乱させ、地域の結束を揺るがしかねない、さらなる地政学的な衝撃にさらされている。気候変動のリスクも高まっており、領土保全、経済的安定、人間の安全保障に影響を与えている。経済的困難と政治的不安定は、断続的な混乱を引き起こし続けるだろう。
●太平洋島嶼国は、貿易、労働移動、デジタル環境、気候変動への耐性に関するより良い取引を求め、より大胆に自分たちのニーズを主張している。オーストラリアやアメリカといった伝統的な同盟諸国に対しては、援助依存を減らし、経済開発を促進するために、援助国と被援助国の関係を超えて、よりバランスの取れたパートナーシップへと移行するよう働きかけている。(Radio New Zealand/AUG22, 2024)
太平洋地域
【経済・社会動向】
地政学は太平洋諸島の「発展と安全保障」を妨げる可能性-シンクタンク発表(太平洋諸島)
2024.08.26