プラスチックの危機に対処するための法的拘束力のある条約に向けた国際的な取り組みが進行中であり、2024年後半を合意期限としている。太平洋諸島のプラスチック使用量は世界それのの1.3%に過ぎないが、太平洋諸島の海は国を超えて流れ着いたプラスチックで汚染されている。「プラスチック汚染は、廃棄物管理の面で莫大な公的コストをもたらし、観光業や漁業など、私たちの社会の重要な経済部門を損なう可能性がある。最も重要なことは、海洋、水中、土壌、大気中のプラスチック汚染は、人間の健康を脅かすものであるということだ」と、太平洋海洋委員のManoni博士は述べる。クック諸島国家環境局のFua局長はこう指摘する: 「私たちの海とサンゴ礁は、ゴミ漁具で埋め尽くされている。廃棄漁具は、絶滅の危機に瀕し、保護されている海洋生物をも巻き込み、死に至らしめる。さらに、海洋生物や海洋食物連鎖に対するマイクロ・プラスチックの摂取の影響も看過できない。」と語る。こうした問題は非常に深刻で、太平洋地域における有害廃棄物やその他の汚染物質への取り組みを目的とした地域条約であるワイガニ条約の締約国は、10月にプラスチック廃棄物を含む初の改正案を採択した。「現代世界はプラスチック中毒である。これは事実だ。中毒を止める第一歩は、問題があることを認めることだ。私たちはUNEA 5/14でそれを行った。今こそ、中毒を断ち、習慣を改め、クリーンアップするという計画を立てる時だ」と、PSIDS(太平洋小島嶼開発途上国)議長は、欧州連合を含む161の加盟国と318を超えるオブザーバー組織(国連機関、政府間組織、非政府組織)を代表する会合で語った。バヌアツは2018年、バッグやポリスチレン容器を含む非生分解性プラスチックも対象とした法律により、世界で初めてプラスチックストローを禁止した国である。それ以来、禁止はプラスチック製カトラリーや、網やクラムシェルケースのような食料品包装にも拡大されている。太平洋地域環境プログラム(SPREP)と太平洋観光機構(SPTO)は、使い捨てプラスチックの基準と認証プログラムを開発中である。来年に予定されているこの作業では、観光事業者に焦点を当てたプログラムの調査、設計、開発、実施、監視が行われる。ピュー・チャリタブル・トラスト(Pew Charitable Trusts)による調査で、プラスチックのライフサイクル全体(生産から消費者の使用、そしてそれ以降)を変えることで、2040年までに海洋プラスチック汚染の割合を80%減少させることができるという。海洋に流出するプラスチックの85%は、5つの製品タイプ、すなわち、単素材フィルム(クリンピングフィルムやラップなど)、キャリーバッグ、ボトル、小袋、多層容器(調味料やシャンプーの1回分パックなど)、家庭用品(歯ブラシ、ペン、おもちゃなど)であることがわかった。Pewによれば、持続可能な代替品による方向転換は、2040年までに汚染を17%削減できるというが、コスト、消費者の需要、適切な規制の欠如のため、これらの製品は化石燃料を原料とするバージンポリマー製の製品との競争に苦戦している。これに関連する内容で、COP28では在インドネシアフィジー大使は、「私たちが気候変動枠組条約締約国会議(COP)で進めている化石燃料の段階的削減の努力は、一次プラスチック生産の削減に直接関係している」と述べている。(Pacific News Service/DEC21, 2023)
https://pina.com.fj/2023/12/21/pacific-faces-new-battle-plastic-addiction/