Nature Climate Change誌に掲載された研究論文によれば、太平洋上の小さな島々に住む人々の人権は、気候変動によってすでに妨げられているという。これは、バヌアツ政府が国際司法裁判所(ICJ)に対し、気候変動に対する各国の法的責任に関する勧告的意見を求めたことを受けて掲載された。
執筆者の1人であるWastoby 氏は、バヌアツの人々は基本的人権、特に健全な環境に対する権利の損失と損害をすでに経験していると述べた。記事の取材に応じたAmbrym島の住民は、ヤマイモの収穫時期の遅れにより、収穫に関連する文化的慣習さえも失われつつあると語った。気候変動は文化的慣習や知識の喪失につながっており、これらは金銭的な手段によって再構築することはできない。
また、フィジー本土からボートで5分のSerua島は、海面すれすれに位置し、海が島を飲み込もうとするなか、150人の地元民が移住を余儀なくされている。2014年、フィジーは海面上昇を理由にコミュニティを移転させた最初の太平洋島嶼国となった。そして、今回Serua島の住民が移転を迫られているが、先祖のほとんどがこの島に埋葬されているため、彼らにとってこの島はとても大切な場所であり、移転に関しては消極的だ。
今日からドバイで開催されるCOP28では、損失損害基金をどのように運用するかを議題としている。太平洋諸島気候ネットワーク(PICAN)の地域コーディネーターであるSeru氏は、この損失被害基金設立は、今回の会議における太平洋諸国にとっての最優先事項のひとつであると述べた。気候変動の影響による損失は、経済的なものと、前述のバヌアツのように非経済的なものの両方がある。非経済的な損失の一部は数値化することができるが、先祖伝来の土地を失うことに伴う犠牲を計算することは困難である。
現在のところ、損失被害基金は世界銀行の傘下に置かれることが支持されている。(Radio New Zealand/NOV30, 2023)