国際通貨基金(IMF)は、2022年1月の火山噴火からの回復と、Covid19による長期ロックダウンの後の国境開放を受け、トンガ経済は力強く推移しているが、逆風も強まっていると指摘した。
IMF理事会のトンガに対する2023年報告書は、復興プロジェクト、持続的な海外送金、観光客の回復を背景に、2022年8月の国境再開後、トンガの経済活動が回復したことを指摘している。同報告書は、緊急性のない支出は繰り延べ、政府予算を復興や社会保障といった優先分野に集中させるべきだと勧告している。また、短期的には景気回復が続くとされるが、先行きは大きな不確実性をはらんでいるとし、労働力不足とエルニーニョによる天候不順を反映して、農業生産の回復は緩やかに進むと予想している。労働力不足への取り組みについては、男女間の不平等を是正し、訓練や教育への公共投資を強化することが有効であるとしている。
トンガの長期成長率は1.2%と予測されているが、これは頻発する自然災害や、移民による労働者の持続的な流出、地理的障壁による規模の経済の限界にさらされていることを考慮したものである。報告書によれば、短期的な経済回復が定着した後、財政の持続可能性を確保しつつトンガの開発目標を達成するためには、財政調整と開発パートナーからの追加支援の両方が必要となる。トンガは、新たな無償資金協力の合意がなければ債務危機のリスクが高いと評価されており、今後数年間の大規模な対外債務返済は財政をさらに逼迫させるとみられている。報告書は、トンガの低い潜在成長率を押し上げるためには、気候変動への耐性を強化し、民間部門を育成することを目的とした包括的な構造改革が不可欠であるとし、またトンガの災害に強い国づくりを強化するため、建築基準法の施行を厳格化するよう求めている。(Radio New Zealand/NOV08, 2023)