仏領ポリネシアの希少な鳥を絶滅の危機から救うためのプロジェクトが立ち上がった。ヒタキ類の一種であるファトゥヒバモナークは現在19羽、繁殖ペアは5組にまで減少している。ファトゥヒバモナークはマルケサス諸島の島の固有種で、仏領ポリネシアで最も絶滅の危機に瀕している鳥であり、世界で最も希少な種のひとつである。その数は船ネズミや野良猫、そして現在は鳥マラリアによって、数十年にわたって減少している。この鳥を救うプロジェクトは、オークランド動物園とポリネシア鳥類学協会(Société d'Ornithologie de Polynésie)の共同作業だ。この緊急プロジェクトは、タヒチの北東1100kmに位置するファトゥ・ヒヴァ島で、人工飼育による繁殖プログラムを確立しようとするもので、協会の専門家たちが、森林が深く生い茂る谷間の約29ヘクタールにある巣に産卵された卵をモニターしている。卵は、動物園のスタッフが設計した専用の新しい施設で孵化、ふ化、そして順調にいけばヒナの飼育のために集められる。飼育に成功すれば、ヒナは外敵や 蚊の侵入を防ぐ鳥小屋に放たれる。年配の繁殖ペアの巣から卵を1つ取り出し、人工孵化させ、先週孵化に成功したが、ヒナは生後2日で死亡したという。個体数は十分に急成長することができず、危機的なまでに小さな規模にとどまっているという。「人工飼育プログラムは、非常に重要かつ挑戦的なものであり、私たちは皆、種の運命を好転させるチャンスを手にしているというプレッシャーと責任を感じてる」とオークランド動物園鳥類学芸員は語った。(Radio New Zealand/JUL26,2023)
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絶滅の危機に瀕する太平洋の鳥を救うため、生物学者たちが時間との戦いに挑む (太平洋諸島)
2023.07.28