太平洋諸島フォーラムのブラウン議長は、計画されている原子力発電所の廃水処理水の太平洋への放出は、管理された放出であり、投棄ではないため、ラロトンガ条約に違反するものではないと述べた。
同条約は、太平洋を非核地帯とすることを定めたものであり、同地域における核廃棄物の投棄を禁止している。クック諸島の首相でもあるブラウン氏は、国連原子力機関(IAEA)の最新報告書において、日本の計画が国際基準を満たしているとの見解に高い信頼感を示した。IAEAのグロッシ事務局長は、ブラウン議長と太平洋の指導者たちとの会談のためにラロトンガを訪れている間、技術的な見地から、なぜ投棄ではないのかを説明した。グロッシ氏は、投棄は管理も国際的な監視もなしに行われる行為だが、日本が行っていることはそれとはまったく次元が異なると述べた。そして日本の計画は、適切な国内法、適切な健康・環境管理、そして国際的なモニタリングのもとで行われており、投棄とは昼と夜とが違うくらいに異なるものだと説明した。しかも、IAEAは今後40年間、福島に常駐し、海が守られていることを確認するため、独自に水を検査することになっている。グロッシ氏はIAEAの存在意義についても触れ、世界に約450基ある原子炉の安全性を確保するために計画と安全基準が常に見直されていることを保証するための機関であることを強調した。
しかしながら、クック諸島の漁師は、日本の計画が安全であるとは確信していない。太平洋が広大な共有財産であることを考えると、多くの疑問があると言う。人々は代々漁業に頼ってきたのだ。クック諸島の環境保護団体であるテ・イプカレア・ソサエティは、日本は自分たちの行動をもっと説明すべきだと述べた。「安全と判断されたのであれば、希釈した廃水を日本の農業用地に運び、灌漑に利用することを検討してはどうでしょうか」と、同団体のスミス理事は述べた。IAEAの報告書は「さらなる情報提供のため」太平洋諸島フォーラム事務局に送られた。ブラウン事務局長は、「各国首脳はまだ見解の相違があり、再会談の際にも見解の相違があるかもしれない」と述べた。「提案された計画はIAEAの安全基準の範囲内だと言っている。もしそうなら、海や環境にダメージを与えない限り、日本がやろうとしていることを止めることはできない」とブラウン氏は語った。(Radio New Zealand/JUL14, 2023)