ラニーニャ現象から一転、太平洋では今後12ヶ月の間に天候が劇的に変化する。この地域はエルニーニョ現象に見舞われると予想されているが、それはすでに始まっていると言う科学者もいる。ラニーニャ現象は冷却の時期であり、エルニーニョ現象は南米沖の東太平洋の海水が上昇する時期にあたる。
NIWA(the National Institute of Water and Atmospheric Research,)の気象学者Noll氏によれば、長い干ばつに見舞われているキリバスなどでは降水量が多くなる可能性がある一方、パプアニューギニアなど西太平洋の一部では通常より乾燥する可能性があるという。また、南西太平洋でサイクロンが発生する可能性も高く、フィジーの東側ではそのリスクは高まるが、西側では減少するという。2022年6月、キリバス政府は干ばつによる緊急事態を宣言した。キリバス気象局のTooius局長によると、2020年半ば以降、キリバスは平年を下回る降雨量に悩まされており、これはラニーニャ現象によるものだという。RNZ Pacificは3月、キリバスのAroraeで、人々が飲む井戸水が塩水になり、ココナッツの木の先端が落ちていると報じた。
エルニーニョは干ばつを緩和するという意味では良いニュースだが、エルニーニョの期間中、キリバスにより深刻な暴風雨が襲う可能性が高いともいえる。一方、太平洋の東側に位置するパラオは、非常に乾燥した状況が予想されている。(Radio New Zealand/JUL03, 2023)