IAEAは、調査の結果、日本の処理済水を太平洋に放出するアプローチは、関連する国際安全基準に合致していると発表した。東京電力(TEPCO)は、津波で壊滅的な被害を受けた福島第一原子力発電所を廃炉にするため、30〜40年かけて約130万トンの汚染水を太平洋に投棄する準備を進めている。日本は、高度液体処理システム(ALPS)と希釈によって汚染水は安全になると主張しているが、太平洋の多くの人々は懸念を表明している。
国際原子力機関(IAEA)のGrossi事務局長は、東京で岸田首相に審査報告書を提出した。IAEAは、東京電力が計画した段階的な放出は「人々や環境への放射線影響はごくわずか」であるとしているものの、汚染水の放出は日本政府の決定事項であり、IAEAの報告書はその政策を支持するものではないと述べた。日本は廃水は処理され安全であると主張しているが、それでも放射能は残っている。国際法の専門家によれば、オーストラリアやニュージーランドを含む太平洋の首脳が放出に異議を唱えないこと自体が、南太平洋非核地帯条約(ラロトンガ条約)の趣旨を損なっている可能性があるという。
IAEAの報告書の発表に先立ち、「原子力問題に関する太平洋共同体」は日本政府と東京電力に対し、直ちに計画を断念するよう呼びかけている。IAEAの任務は原子力の安全な利用を促進することであるため、IAEAが日本の提案の安全性を認めているという事に安心はできないとしている。さらにこの共同体は、さらに、太平洋地域の指導者たちに対し、国際海洋法裁判所において日本に対する訴訟を開始するよう呼びかけた。(Radio New Zealand/JUL05, 2023)