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PACIFIC ISLANDS NEWS [ 太平洋諸島ニュース ]

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福島原発の排水が太平洋に流れ込むと、魚介類の取引はどうなるのか(太平洋諸島)

中国・大連海事大学 Ming Wang 著
日本から福島原発の処理水が太平洋に放出されることで世界の水産物市場は混乱に直面するとコンピューターモデリングが予測している。日本は2021年に、今年(2023年)、発電所を廃炉にする計画の一環として、貯蔵容量が限界に達した125万トンを超える福島原発の放射能処理排水を海に放出すると発表した。日本の原子力発電所の処理水排出は、日本の水産物に対する安全性に対する世界的な懸念を高めている。本論文では、世界の水産物貿易の92%以上を占める26カ国の輸出入データを用いて、福島原発の廃水処理が世界の水産物貿易に与える潜在的影響をモデル化した。水産物は、国際貿易において、肉や乳製品をはるかにしのぐ重要な食料品の一つだ。国連コムトレードデータベースによると、世界の水産物貿易は2009年の76億米ドルから2019年には124億米ドルと、63%増加している。調査の結果、日本の水産物輸出は2021年に19%、2億5900万ドル減少することが算出された。福島の処理水が排出された後の世論は、各国、特に日本と貿易を行う国にとって、水産物の輸出入取引に異なる影響を与えると思われる。人々が処理水についてどう思うかは、各国の日本産水産物の輸入量と密接に関係している。コンピュータ・モデリングによれば、ある国が輸入する日本産水産物の量が多ければ多いほど、世論はより否定的になる可能性が高く、日本の水産物輸入量も減少すると、コンピューターモデルは予測している。しかし、その減少幅は、原発処理水の排出後、日本の国民が地元の魚介類をどの程度受け入れるかによって決まる。日本政府は、福島の処理水放出によって国内販売が影響を受けた場合、2億6,000万米ドルを投じて地元の水産物を購入すると発表している。もし、日本国民が処理水放流地域周辺の海域で獲れた水産物を受け入れるようになれば、他国から日本への水産物の輸入は減少すると思われる。しかし、世論がこのようにならない場合、日本は地元の需要を満たすために、より多くの水産物を輸入しなければならなくなる。日本の水産物輸出の減少分の40%が自国市場で吸収されるとすると、他国からの日本の水産物輸入は2億7200万ドル減少することがモデルで示された。(Radio New Zealand/APR14, 2023)

https://www.rnz.co.nz/international/pacific-news/487942/how-fukushima-wastewater-into-pacific-will-disrupt-seafood-trade