アジア開発銀行 (ADB)の2023年4月の予測によると、太平洋地域はアジア開発銀行途上国加盟国の全てが景気回復を持続するとのことだ。ADBのGutierrez太平洋局長は、兆候は良好としながらも、いくつかの潜在的な課題について注意喚起している。太平洋地域のコロナウィルスの影響などからの回復は、災害の影響や気候変動による構造的リスクなど、いくつかの逆風に直面しているという。これらの課題に対処するため、人的資本や財源の改善など、成長を促進する改革を取り入れ、弾力的で持続可能な経済の再建を支援する必要があるとGutierrez氏は述べた。
パプアニューギニアでは、商品価格の上昇に支えられた鉱業活動と液化天然ガス生産の増加が、2023年に2.4%、2024年に2.6%の成長に寄与すると予想さ れる。
バヌアツの成長率は、2つのサイクロンと地震を受け、今年は1%に減速すると予想されるが、農業、貿易・観光サービスの復興と回復により、2024年には回復する。
フィジーは、2023年も観光が成長の主な原動力となるとみられる。地域第2位の経済大国であるフィジーは、2023年に6.3%の成長を記録し、2024年には3.0%に減速すると予測されている。ADBの報告書によれば、旅行がさらに正常化するにつれ、フィジーはインドネシアやタイといった他の観光地との激しい競争に直面するようになるとの見通しだ。
ソロモン諸島のコロナ感染拡大に対する規制は、2022年に過去20年間で最悪の経済収縮を引き起こした。ただし、太平洋競技大会の開催が拍車をかけ、2023年のソロモン諸島の経済成長率は3.0%になると予想している。
クック諸島、ニウエ、サモア、トンガの経済は、3年間の経済混乱から回復するのに苦労している。
クック諸島の成長率は、観光客の着実な回復と公共投資により、2023年に11.2%、2024年に9.1%と予測され ている。ニウエの経済回復も同様に観光に依存しており、今だ不安要素がある。サモアでは、公共投資プロジェクトや観光客で、2023年に4.8%、2024年に2.5%の成長を支えるという予測だ。トンガでは、公共投資の復活により、2023年の国内総生産は2.5%増加し、2024年にはさらに3.2%まで成長率が拡大するとのことだ。
ミクロネシアでは、2023年に4.1%の経済成長が見込まれているが、2024年には0.5%に減速し、マーシャル諸島の経済は2023年に1.5%の成長に戻り、2024年には2.0%に回復すると予測される。
パラオの成長率は2023年に3.8%に達し、主要な観光市場の需要が改善するにつれて2024年には6.5%に加速すると予測される。
キリバスでは2023年に2.3%の経済拡大が見込まれ、2024年には2.8%まで回復すると予想されている。ナウルは2023年に1.8%、2024年に2.2%の経済成長が見込まれ、ツバルは2023年に2.5%の成長が見込まれた後、2024年には2.0%に減速すると予想される。3カ国とも、国境開放に伴う公共インフラ整備が成長の原動力となる見通しだという。(Radio New Zealand/APR13, 2023)