クック諸島航海協会と彫りの名手Tavioni氏によるこのプロジェクトには、約4ヶ月にわたり、50人以上の人々が関わり、9艇のヴァカを完成させた。Tavioni氏は、できるだけ多くの人にヴァカの作り方を知ってもらうことが目的だったと語り、ヴァカほど、我々と文化を強く結びつけてくれるものは他にないと述べた。ヴァカの製造工程では、殻をむいた約300個のココナッツを満潮時に浜に埋めて3カ月間放置して腐らせ、その後、掘り起こされたココナッツをロープ(カハ)に加工しヴァカを縛る際に使用される。ヴァカ作り参加者によれば、伝統的な材料を使うことが「目からうろこ」の体験だったという。パパイヤロープとカハ(ココナッツのローブ)を比べると、明らかにパパイヤロープの方が丈夫だが、人々が作ったカハには十分な強度、つまり、ヴァカを海に浮かべ、安定させるために必要な強度を備えているという。ヴァカ作りの初心者であるOolders氏は、そのプロセスを理解できないこともあったという。しかし、指導者であるTavioni氏を信頼し、言われたとおりに作業し、最終的に海に出て、ヴァカが水上を動くのを見ることができたのは、本当に特別な日だったと述べる。このヴァカ製作技術を知る人はごく僅かなので、今、この技術を継承しなければそれを失いかねない。Tavioni氏は、「このプロジェクトにはとても満足しているが、ヴァカは子供と遊ぶためではなく、魚を獲るために使ってほしい」と語る。物価が上がる中、クック諸島の人々にヴァカを使って自給自足してほしいとTavioni氏は訴える。そして、次のステップは、このヴァカを使って伝統的な釣り大会を行うことだと言う。(Radio New Zealand/MAR08, 2023)
クック諸島
【芸術・文化・スポーツ】
伝統を守り続ける-人々が完成させた9艇のヴァカ(クック諸島)
2023.03.10