欧州連合(EU)は、太平洋地域における中国の存在感の増大と、ロシアのウクライナ侵攻など国際秩序に対する懸念から、この地域における防衛戦略を強化することを決定した。EUインド太平洋地域特使であるVisentin氏は、アフリカ東海岸から太平洋島嶼国までの広大な範囲をカバーするこの地域に戦争が差し迫っていることを示す証拠はないが、多国間の規則に基づく秩序が完全な形でに尊重されていないことを懸念していると述べた。特に、中国がこの地域での最大の脅威とみなしており、Visentin氏は、中国はEUにとって「パートナーであり、競争相手であり、ライバル」であると見ている。中国とソロモン諸島間の安全保障条約の草案が3月に流出し、オーストラリア、米国、ニュージーランドといったソロモン諸島の従来からのパートナーの存在が見えなくなり、中国の軍事力増強と戦略的意図への懸念が高まっている。中国がオーストラリアから2,000kmも離れていない太平洋に軍艦を配備することとなり、地域の安定が損なわれるのではないかという懸念が生じている。太平洋地域における安全保障と防衛に関するEUの経験は、非常に限られている。中国とソロモン諸島の安全保障協定は、この地域における安全保障と防衛に関するEUの行動を発展させる上で考慮されなければならない。太平洋地域では伝統的にEUは開発パートナーであった。主な課題は、我々がそれ以外のもの、すなわち安全保障と防衛における戦略的パートナーになり得ることを示すことであるとVisentin氏は述べた。3月、EUは世界の安全保障と防衛政策を強化する計画を承認した。戦略的コンパスと呼ばれるこの計画は、危機に際して断固として行動し、自国の安全と市民を守るEUの能力を向上させるためのロードマップを定めている。(Pacific Islands News Association/MAY19, 2022)
https://pina.com.fj/2022/05/19/eu-to-step-up-indo-pacific-defence-presence-over-china-fears-and-ukraine-example/
太平洋地域
【経済・社会動向】
【中国・台湾進出動向】
EU、中国への懸念とウクライナの事例を受け、防衛戦略を強化(太平洋諸島)
2022.05.20