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PACIFIC ISLANDS NEWS [ 太平洋諸島ニュース ]

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前太平洋諸島フォーラム事務局長が外部からの影響について警告(太平洋諸島)

太平洋諸島フォーラムの前事務局長メグ・テイラー氏はこの地域(太平洋島嶼地域)がいかに外部の利害関係に影響を受けているか、そしてその影響が高まりつつあるかについて訴えた。また、地政学的な関心がこの地域に集まってきている中で、太平洋諸島の団結が崩れ、地域ごとに分かれてしまったことの危険性について警告を発した。6年の任期を終えて退任したテイラー氏は報道陣を前に太平洋諸島が直面している大きな問題について回想と共に言及した。まず一つ目は、米中の利害関係の対立に太平洋諸島が巻き込まれてしまっていることだ。テイラー氏は、太平洋諸島が一致団結して、どこからの影響も受けずに地域のための決定をすることを懸命に進めてきた。この地域の人々のことは一切考えず、深く議論もしない軍事力だけの大国に入り込まれるのは遺憾だ述べる。また、最近日本が発表した何百トンにも及ぶ核廃棄水を太平洋に排水することにも触れ、なぜ、この事について太平洋諸島にいかなる相談も無かったのか、この地域の人々にとって漁業は大きな生活の糧であるのにと述べた。全ての事が議論されるべきであり、その話し合いは太平洋諸島の人々が主体であるべきだとした。
気候危機に関して
太平洋諸島が直面する問題の中でも重要なのが気候危機だが、この地域の主要国がこの事について十分に話し合っていないとテイラー氏は述べた。彼女の任期中の2019年ツバルで開催されたフォーラムサミットのKainaki宣言を主な成果として例に挙げ、この地域での主要なパートナーであるオーストラリアが気候温暖化に関して同じような考え方を共有していないことについても遺憾の意を表明した。また、海面上昇についても触れ、この事がこの地域の人々にとって将来何を意味するのか世界が注視してほしいと述べた。
サブリーリジョンの落とし穴
テイラー氏の後任選挙は論議を呼んだ。すでに元クック諸島首相のヘンリー・プナ氏が後任の事務局長となっているが、ミクロネシアの国々が推薦していたザキオス氏が落選したことで、ミクロネシアの代表が事務局長になるという紳士協定が無視されたと訴えていた。その後、ミクロネシアの国々はフォーラムを脱退し、メラネシア、ポリネシアといったサブリージョングループのような北太平洋の島々での独自の団体を作りつつあるようだ。テイラー氏は、こうした地域がどのように結束するかの政治的な話し合いが必要だと訴える。そして、太平洋諸島フォーラムは、多様な利害のあるこの地域の共通の利益のために団結することが重要であると強調する。彼女は各地域ごとに政治的文化的問題を抱えながらも声を1つにすることで大きな力となることを信じていると述べた。彼女の次のステップとして、長く不在にしていた家にいったん戻るという。家に戻り、今後を考えるとのことだ。彼女は多様な地域の代表としての6年間の任期を終えその経験をかみしめながらも、太平洋地域のことを案じている。
(Radio New Zealand/MAY31, 2021)
https://www.rnz.co.nz/international/pacific-news/443728/outgoing-pacific-forum-head-warns-about-external-influences