4月に政府がカナダのバリックゴールド社のポルゲラ鉱山における採掘権の延長を拒否して以降、露天金鉱は休眠状態にある。この延長拒否は、ポルゲラ鉱山の運営を国営化するための一歩と考えられていたが、この決定は裁判で争われることになりそうだ。採掘が再開されなければ、7月末までには鉱山労働者2500名以上が解雇されるだろうと警告されている。一方で、ポルゲラ警察署長のJack Kimala氏は、報道機関に対し、人々が鉱山に不法侵入して盗める物をなりふり構わず盗んでいると述べた。この混乱を鎮めるためにパプアニューギニアの国防軍兵士が派遣されたが、Kimala氏が言うには、鉱山が稼働していた時に掘り出したものを盗んでいた者たちが、今度は鉱山の事務所に入り込んで盗みを働いている。コントロールできない状態になる前に、鉱山の問題が解決されてほしいとKimala署長は述べた。(Radio New Zealand/JUL08)
https://www.rnz.co.nz/international/pacific-news/420768/chaos-at-png-s-porgera-gold-mine
注1ポルゲラ鉱山は紫金鉱業とカナダのバリック・ゴールドの合弁企業、バリック・ニューギニア(BNL)がプロジェクト権益の95%を所有する。紫金鉱業は2015年に2億9800万ドル(約317億円)を投じ、BNLの権益の50%を買収した。BNLの採掘権は2019年8月に期限が切れていたが、その後も採掘の継続が認められていた。ところがパプア政府は突如、採掘権の延長申請を認めず今後について協議するための国家交渉団を組成すると発表。
注2 紫金鉱業は金、銅、亜鉛などの探鉱および採掘で中国有数の大手企業。パプアのほかアフリカや南米など海外11カ国に鉱山権益を保有している。ニューギニア高地のエンガ州にあるポルゲラ鉱山は、金の埋蔵量314トン、鉱石1トン当たりの含有量4.2グラム、年間平均生産量15.5トンと、世界の十指に数えられる金鉱山。2019年は紫金鉱業に8.83トンが配分され、同社の金生産量の21.6%を占めた。紫金鉱業の決算報告書によれば、2019年にポルゲラ鉱山の権益から得た純利益は5億2700万元(約79億円)。これは同年の総純利益の12.3%に相当する。今回のパプア政府の決定が同社の業績に大きな影響を与えるのは確実。