世界銀行の経済調査では、太平洋地域において、サモア、フィジー、クック諸島など観光に大きく依存した国々の経済の急速な縮小を予想している。すでにこれらの国々ではリゾート施設の閉鎖や航空便の欠航などで大規模な解雇が起きている。また、パプアニューギニアなどの資源依存国では、早くも原油やガスの価格が下落して影響を受けている。事実、太平洋島嶼国の多くは観光産業と諸外国からの支援に依存しており、今回のパンデミックによりその両方が影響を受ける。限定的な医療体制、社会保障の欠如、多額の負債を抱えている政府など問題は山積しており、経済大国が何らかの支援を太平洋島嶼国にすべきであるという指摘もある。従来の需要喚起のようなものではなく、労働者に対して日々の必需品を購入するための現金の支払いなどの支援が必要とされている。離島においては、そもそも、島内で基本的なことは賄っており、コロナウィルスが到達しない限り今まで通りの生活を維持することが可能であるが、これらの離島にコロナウィルスの感染が発生した場合は、医療支援を受けることが大変難しい。いずれにせよ、コロナウィルスの広がりについては未知ではあるが、大規模な医療支援が必要になるだろう。すでに世界銀行は東アジアと太平洋地域に対してコロナウィルス対応のために140億ドルの支援を表明している。アジア開発銀行もまた、同様に支援を表明している。（Radio New Zealand/APR2, 2020）