カナダのアナリストは、太平洋諸島地域の自由貿易協定はこの地域の経済を弱め、逆に中国にとっての戦略的に恰好の地域にしてしまうと述べた。水曜日、ニュージーランドがPACER Plusに調印し、続いて、オーストラリアとほかの9か国も調印した。グローバルシンクタンクのCleo Paskal氏は、自由貿易を強化することはこの地域の慣習的な土地所有と社会資本システムに打撃を与えると分析した。いったん経済が弱まると中国が入り込んでくると指摘し、「オーストラリアやニュージーランドに登記された中国政府が背後にある企業が入り込み、重要な社会基盤となる港や通信などが競売にかけられ買われてしまうことになる」とも述べた。そして、「PACER Plusは最も大きな戦略的な誤りで、アメリカ、インド、日本などの資本は締め出されてしまうことになる」と言う。ニュージーランド外務省のスポークスマンによれば、PACER Plusの主たる目的は太平洋諸島の経済の発展であり、オーストラリアやニュージーランドの利益が目的ではないとしている。両国はこの協定導入にあたり、235万ドルの支援と、今後5年間にわたり14億ドルの支援を太平洋島嶼国に対してしていく予定だ。PACER Plusが中国にこの地域に入り込む手段を与えてしまうという非難に対しては、政府の承認なしにはいかなる企業もこの地域に投資はできないはずと反論している。また、投資家が政府の承認を得たとしても、常に法規制のもとにあるともしている。水曜日、PANG(グローバル化に関する太平洋ネットワーク)は、この9か国がPACER Plusに調印したことで毎年6000万ドルの政府歳入が失われることになるとの報告書を発表した。協定の関税免除により、サモアは毎年125万ドル、ソロモン諸島は1300万ドル、トンガは720万ドル、バヌアツは750万ドルの損失を被るとも試算した。さらに、より小規模経済の、クック諸島、キリバス、ナウル、ニウエ、ツバルの毎年の損失を合計すると2000万どるになると付け加えた。「オーストラリア、ニュージーランドは純粋にこうした協定が経済発展へ結びつくと思っているようだ。しかし、異なる経済システムである太平洋諸島ではこの協定は悲劇的な結果を生むだろう。」とPaskal氏は指摘する。
(Radio New Zealand/OCT 26, 2018)
太平洋地域
【経済・社会動向】
PACERは太平洋地域を脆弱化し、中国に入り込まれるとアナリスト(太平洋地域)
2018.11.01