生物多様性と天然資源保護を目的とするNPO団体であるパラオ自然環境保護協会(PCS-Palau Conservation Society)会長のミノル・ウエキ前駐日大使は、海洋石油開発は危険と隣り合わせであり、北部カヤンゲル州沖合の石油探査計画に幾つかの問題があると指摘している。たとえば一本の掘削で鉛や水銀など多種の有害物質を含む約9万トンの土砂が流出し、1日に7,000台の車が50マイルを走った分の大気汚染が発生するとしている。海流は北部から南部に流れており、流出汚染土砂は世界遺産指定地域、ロックアイランドなど観光産業活動地域を汚染する危険がある。2005年のハリケーン・リタに襲われたメキシコ湾では、66本の掘削機が倒れ、32本が被害を受けた。昨年カヤンゲル州に甚大な被害をもたらしたハリケーン・ハイヤンはこれ以上に勢力があったことを認識しなければならない。そして、人口2万人にも満たないパラオは自立できる産業が育っており、未来の子供たちを危険にさらす石油産業はいらないと述べている。石油開発計画は、シンガポールを本社とするThe Palau Energy(PE)と、米国を本社とするthe Palau Pacific Energy(PPE)が合弁事業で商業ベースでの開発に関心を寄せている。(Island Times/ Oct.16, 14)
パラオ
【鉱物資源開発動向】
石油開発に疑問(パラオ)
2014.10.28