貴族出身のFakafanua卿がトンガの新首相に選出されたことで、同国の民主主義の方向性に対する懸念が広がっている。Fakafanua卿は12月15日に行われた国会投票で、現職のEke首相を16対10で破り、首相の座を獲得した。この投票は、11月20日に実施された総選挙から約4週間後に行われた。40歳のFakafanua卿は、トンガ史上最年少の首相となる見通しで、RNZ Pacificに対し、新議会における「団結」を最優先課題として掲げ、「私たちは国家としての原点と基盤を振り返り、共に働く必要がある。分断的な政治は、エネルギーと税金の無駄であり、本来取り組むべき貧困削減や経済成長、生活費の引き下げから目を逸らさせる」と語った。Fakafanua卿は2008年、24歳でハアパイ選出の貴族議員として政界入りを果たし、27歳で史上最年少の議長に就任している。その議会運営能力は高く評価されており、異なる政治勢力間の調整役としても実績を積んできた。その一方で、民主化支持者からは、今回の首相選出が2010年の憲法改革の精神に逆行するのではないかとの懸念が出ている。2010年改革では、国王と貴族に集中していた権力を国民側に移し、議会は17人の民選議員と9人の貴族議員で構成される仕組みとなった。元政治顧問の Senituli氏は、貴族が首相に就くことで、国王および貴族層に対する民主的なチェックが弱まる可能性を指摘している。特に、議長と副議長の職が貴族議員に限定されている点について、「民選議員はこれらの役職に就くことができず、議会運営において不利な立場に置かれている」と述べた。さらに、民主化運動の象徴的存在であった故 Pohiva元首相の娘であるPohiva氏は、今回の結果を「民主改革にとって悲しい日」と表現した。彼女は、「貴族議員は極めて少数の貴族有権者によって選出される一方、首相は16人の国会議員の支持で選ばれた」とし、制度上の不均衡を批判した。また、Fakafanua卿が母方を通じて王族の血筋を引き、父方では貴族の称号を継承し、さらに姉が皇太子と婚姻関係にあることも、国王との距離の近さを象徴するものとして指摘されている。こうした批判にもかかわらず、Fakafanua卿自身は前向きな姿勢を崩していない。1月19日に予定されている新議会の初会合で、議員と内閣が宣誓を行う予定だとした上で、「国民のために全力を尽くし、国を一つにまとめるという目標を実現したい」と語っている。(Radio New Zealand/DEC16, 2025)
https://www.rnz.co.nz/international/pacific-news/581920/what-does-the-election-of-tonga-s-new-noble-pm-mean-for-democracy
トンガ
【経済・社会動向】
貴族出身首相の誕生が民主主義にとって意味すること(トンガ)
2025.12.23