パプアニューギニア(以下、PNG)では、近年在任中に死亡する国会議員や州知事が相次いでおり、その数は2022年以降12名に達している。これは総議席118に対する約1割に相当していて、独立後の政治史でも異例の事態として国内の政治・行政に大きな波紋を広げている。2022年には、国政選挙のわずか数週間前に、Basil副首相がMorobe州での交通事故により死亡した。そして、その10週間後に、Nangoi議員とNakin議員が相次いで亡くなり、さらに年内にIsifu議員が命を落としている。これらは当初個々の不幸な出来事として扱われたが、2023年には更に3名(Kapris議員、Pim議員、Karipe議員)が相次いで亡くなっており、2024年初めにはUguro元教育大臣が亡くなっている。2025年に事態は更に深刻化し、Dumarinu議員が8月に亡くなり、続いてWenge議員とChan議員という著名な指導者が数ヶ月の間に相次いで逝去した。2025年12月2日にMirisim労働大臣が死亡したことが報じられ、在職中の議員たちの継続的な死去の波が止まらない状況となっている。Marape首相は、こうした死者の増加を受けて、議員らに対して健康管理を強く促した。「我々は24時間体制で有権者からの圧力にさらされており、議員は自身の健康に注意を払うべきである」と遺族や国民に哀悼の意を示す一方で、過度な負荷と常時の監視が政治家に及ぼす負担を憂慮した。Morobe、Western Highlands、Enga、East Sepik、Madang、West Sepik、Bougainville、New Irelandといった地理的にも広範な地域で死者が出ており、ほとんどの地域が何らかの影響を受けている。この状況は単に国会の欠員を生むだけでなく、州政府のリーダーシップ喪失、地域プロジェクトの停滞、補欠選挙というコストと複雑さをもたらす。特に遠隔であるElectorateのTelefominのような地域では、議員の不在が重要なインフラ事業や行政サービスの遅延を長期化させている。PNGは地形が複雑で、補欠選挙の実施はチャーター便、警察配備、燃料、人員や投票資材の輸送といった高コストを伴う。これにより一部選挙区は数ヶ月にわたって代表不在の状態になることもあり、住民の生活に直接的な影響を及ぼすことになる。議会内部でも頻繁な閣僚交代や委員会・代表団の再編が必要となり、財務、教育、公共事業といった主要部門の政策の継続性が阻害されている。死亡要因は一様ではなく、交通事故や既往症、医療アクセスの不備など複合的な要素が背景にあるとされていて、多くの議員は遠隔地を頻繁に移動し、医療や緊急対応がすぐに行き届かないことが指摘されている。Marape首相はこうした議員の健康優先を繰り返し強調しているが、根本的な負担軽減と医療体制強化が求められている。(Radio New Zealand/DEC04, 2025)
https://www.rnz.co.nz/international/pacific-news/580807/png-confronts-unprecedented-wave-of-parliamentary-deaths
パプアニューギニア
【経済・社会動向】
国会議員の相次ぐ在任中死去に直面(パプアニューギニア)
2025.12.09