クック諸島商工会議所(CICC)は、機密文書流出報道を受け、政府が世界中の汚染された暗号資産を差し押さえる広範な権限を検討しているとの指摘に懸念を表明した。金融情報局(FIU)のHenry氏は、暗号通貨(ランサムウェア対策)法案2025の草案は依然として「審査中」であり、議会には上程されていないと確認した。また、首相官邸(OPM)を代表してHenry氏は、政府は法案を巡る高い関心を認識しており、「国内優先課題、法基準、国際義務に整合するかを確認する適正な内部プロセスを進めている」と説明したが、手続き完了前の詳細コメントは「時期尚早である」とした。CICCは声明で、同法案の議論を「重大な懸念」と表現し、ランサムウェア対策は重要である一方、同国の「苦労して築いた評判と金融アクセス」を守る必要性を強調し、政府には「慎重で、国際基準に沿った協議優先のアプローチ」を求め、民間部門との協働によって実効的な対策を設計できると述べた。商工会議所は、政府と民間のこれまでの協働(COVID-19対応、観光回復、サプライチェーン維持、気候レジリエンス資金調達など)を挙げ、「同じパートナーシップモデルを次の段階でも適用すべきだ」と主張した。そして、草案の文言を民間・銀行セクターとともに検証し、透明性、ガバナンス、現場で機能する運用ルールが不可欠だとした。特に、法案の不備は「重大なコンプライアンスや銀行取引、評判リスクを招く可能性がある」と警告した。CICCは、特に以下の4点をリスクとして指摘した:①コルレス銀行アクセス(correspondent-bankaccess)の喪失:過度な差押権限や域外適用はニュージーランド・オーストラリアの銀行のリスク回避を招き、決済や送金が遅延する可能性がある、②コンプライアンス負担の増加:厳格な強化デューデリジェンス/本人確認要件が企業や家計を直撃し、政府調達も遅れる、③リスク再評価によるコスト増加:海外取引先がクック諸島の信用力を引き下げれば、為替スプレッド拡大、カード手数料上昇、担保要件増大などに直結する、④経済縮小リスク:財務試算は利益を強調したが、リスク再評価により輸入コスト増加、観光収入遅延、民間投資減少が生じ、GDPと雇用を押し下げる恐れがあるとされる。商工会議所は、法案を前進させる場合は共同設計として、銀行主導の保証確保、事業継続性の強化、透明性確保、被害者優先原則の徹底を求め、「目的はサイバー犯罪を阻止しながら、経済の生命線である金融接続性を守ることである」と話した。同時に、法案の以前のバージョンはクラウン法により「重大な欠陥と違憲性」を理由に退けられており、現行草案もクラウン法、法務大臣、クック諸島法曹界などが審査中だという。関係者は、類似法案が以前に否決された経緯を踏まえ、法案の方向性に強い懸念を示している。現時点で政府は内部審査の完了を最優先としており、Henry氏は「プロセスが終わるまで決定は公表されない」と述べた。(Radio New Zealand/NOV24, 2025)
クック諸島
【経済・社会動向】
暗号通貨法案、懸念高まり審査が継続(クック諸島)
2025.12.02