ブラジル北部のベレンで開幕した国連気候会議COP30で、太平洋諸国は地球温暖化を1.5℃未満に抑えるよう改めて訴えた。国連のGuterres事務総長も「1.5℃は人類のレッドライン」と警告した。世界気象機関(WMO)は、温室効果ガス排出量が過去最高に達し、2025年が史上2~3番目の高温年になる見通しだと報告している。WMOのSaulo事務局長は、「一時的に1.5℃を超える可能性は高いが、世紀末までに再び下げることは可能である」と述べた。グローバル化に関する太平洋ネットワーク(Pacific Network on Globalization:PANG)のLogan-Riley氏は「太平洋の存続そのものが危機にある」と警鐘を鳴らしている。一方、次回のCOP31開催地は未定で、オーストラリアとトルコが候補となっている。パラオのWhipps大統領は「次回は“ブルーCOP”として海洋問題を焦点に」と述べていて、米国のTrump大統領の「気候危機は詐欺」との発言を批判している。太平洋諸国は世界初の「再生可能エネルギー100%地域」を目指しており、パラオは2032年までの完全移行を目標に掲げる。一方、国連の最新報告では、各国の公約通りでは気温上昇は2.3~2.5℃に達する見込みとなっていて、太平洋気候ネットワーク(Pacific Islands Climate Action Network:PICAN)のSharma顧問は、「政治的意思の欠如が最大の障害であり、1.5℃を超えれば小島嶼国への影響は壊滅的」と訴えた。今回のCOPはパリ協定締結から10年、また国際司法裁判所が「気候変動対策を怠ることは国際法違反になり得る」と初めて認めた後の開催でもあった。Sharma顧問は、「これが法的明確性を持つ最初のCOPである」と述べた。(Radio New Zealand/NOV10, 2025)
https://www.rnz.co.nz/international/pacific-news/578416/cop30-pacific-nations-call-for-world-to-act-as-1-point-5c-threshold-nears
太平洋地域
【環境・気候変動】
COP30開幕、太平洋諸国が「1.5℃目標堅持」を訴え(太平洋諸島)
2025.11.18