アジア開発銀行(ADB)は太平洋経済について晴れやかな見通しを示しているが、地平線上には雲が垂れ込めているようだ。経済成長率は地域全体で4.1%となり、インフレ率は低下すると予測している。しかし、当地域は米国の関税が開始され、観光、漁業、その他の重要なセクターからの収入がこの打撃を受けるため、2026年には3.4%の成長にまで鈍化すると予想される。Pacific Wavesの取材に対し 、ADBの太平洋地域担当主任エコノミストであるRahman氏は、「太平洋地域は今年の成長率で、他の地域より突出しているが、関税のために太平洋で観光業を主とする国々で成長が鈍化すれば、それが間接的な影響を与える可能性がある」と指摘する。また、ADBが4月に発表した2025年の成長率予測から上方修正がなされ、パプアニューギニアの大幅な成長を予測している。同氏は、パプアニューギニアからの記録的な鉱物・資源産出が、低迷する冬の経済を下支えしているためだと述べている。報告書によると、パプアニューギニアの経済成長率は2025年に4.6%、2026年には3.6%に減速すると予測されているが、ポルゲラ鉱山は2023年の再開以来、半期で最高の金産出量を記録しているという。そして、「現在、金価格は世界市場全体で非常に高く、それが金鉱の前向きな見通しを後押ししていることは確かだが、金の他に、LNGの生産量も伸びており、これも当初の予想を上回る成長に貢献している。」とも言及している。その一方で、サモアでは、観光客の増加率が2024年の40.9%から2025年には2.8%へと急落している。さらに、乾燥した天候により、南太平洋と中央太平洋の農業と漁業の生産高を減速させ、輸入食品への依存度を高め、カヴァのような特産品の提供を弱める可能性があるとの見込みである。こうした状況に関して、同氏は「太平洋の国々では、成長の回復やキャッチアップにはまだ課題があるとみている」と述べている。(Radio New Zealand/OCT01, 2025)
https://www.rnz.co.nz/international/pacific-news/574739/pacific-economies-will-grow-in-2025-but-turbulence-ahead-adb-says
太平洋地域
【経済・社会動向】
アジア開発銀行(ADB)成長するが先行きは不安定と2025年の経済を予測(太平洋諸島)
2025.10.07