国際海底機構(ISA)理事会は、深海採鉱の最大手であるThe Metals Company(以下、TMC)による「コンプライアンス違反」に関する調査を開始した。TMCは現在、ISAのプロセスを回避し、米国側の規制のみを適用して採掘することを計画している。これは、Trump大統領が2ヶ月前に出した大統領令(米国沿岸での深海採鉱を急ピッチで進める大統領令)によって可能になった。深海保全連合(Deep Sea Conservation Coalition)の国際環境弁護士であるCurrie氏は、7月21日に決定されたTMCに関する調査について、「非常に複雑な状況下での事実と法的な根拠を明らかにすること」と述べた。同氏によると、ISAがコンプライアンス違反を発見した場合、TMCが子会社を通じて行っている探鉱契約を停止または解除する可能性があるという。TMCの広報担当者は、「その子会社であるNauru Ocean Resources Inc (NORI)とTonga Offshore Mining Limited(TOML)は、ISAとの契約を完全に遵守している」と話す。しかし、Currie氏は、「たとえ米国の規則に基づいて許可を得たとしても、TMCが採掘するのは非常に難しい。第一に、Clarion-Clipperton Zone(CCZ)に最も近い管轄であるハワイで訴訟が起こる可能性が高いこと。第二に、TMCは採掘技術に関してスイスとオランダのAllseas社に依存しており、スイスはTMCがISAに逆らう動きをすることをまったく容認しそうにないこと。第三に、コバルトとニッケルの加工は中国で行われており、TMCが米国の規制を通過するためには、米国で加工施設を開発する必要があることなどが挙げられる。基本的に、世界は複雑で相互依存的な場所であり、金属会社が現地に行って金属を採掘し、それを持ち帰ることは、彼らが考えているほど簡単なことではない」と述べた。ISA理事会は、7月21日に終了し、その後に総会が始まった。(Radio New Zealand/JUL24, 2025)
https://www.rnz.co.nz/international/pacific-news/567855/international-seabed-authority-launches-inquiry-into-deep-sea-mining-firm-the-metals-company
太平洋地域
【鉱物資源開発動向】
国際海底機構が深海採掘会社The Metals Companyの調査を開始(太平洋諸島)
2025.07.29