南太平洋で最も小さな島のひとつが、いま大きな波紋を広げている。わずか21平方キロメートル、人口12,000人のナウルは、深海採鉱会社が海底を探検し、鉱物や資源を採掘する可能性に、その扉を開いた。国際海底機構(ISA)の規定によれば、ナウルは太平洋Clarion-Clipperton Zone(CCZ)にある19の「スポンサー国」のひとつであり、大きな恩恵を受ける可能性がある。世界の大部分(169カ国とEU)はISAに加盟しているが、米国は海底を採掘する権利を保持したまま、ISAには加盟していない。しかし、今年Trump大統領が米国沿岸での深海採掘を急ピッチで進める大統領令に署名したことで、ナウルと契約を結んでいるThe Metals Company(以下、TMC)は採掘開始への新たな道筋を見出したといえる。一方、ナウルは署名した協定に拘束されており、スポンサー国の責任として、自国のCCZ内での活動を効果的に管理することが義務となっている。国際海洋法を専門とするCanterbury大学のScott教授によれば、「ナウルは、明らかに民間企業であるTMCの利害関係によって動かされている」という。ナウルはこの事業で何百万ドルもの利益を得ることができ、ナウル国民の雇用にもつながる。また、ナウルのAdeang大統領は、国連で「電化を促進するために鉱物を採取してバッテリーに使用することは、環境破壊を上回るメリットがある」と主張している。また、TMC最高経営責任者であるBarron氏は、「広大なジャングルを切り開いてニッケルなどの鉱物を採掘する陸上採掘よりも、海底採鉱は必要な鉱物を得るための害の少ない方法である」と公言している。しかし、このような採掘をめぐる国際的な規程策定作業が10年以上にわたって議論され、いまだ完成していない理由のひとつは、深海に何があるのか、それが生態系にどのように寄与しているのか、正確にはわかっていないからである。(Radio New Zealand/JUL24, 2025)
https://www.rnz.co.nz/news/thedetail/567829/tiny-nauru-is-causing-big-waves-over-mining
ナウル
【鉱物資源開発動向】
海底採鉱をめぐる大きな波紋(ナウル)
2025.07.29