Trump米大統領が深海採掘産業を後押しする目的で発表した大統領令について、海洋保護・保全の提唱者は、「太平洋地域の現代的な軍事化をまたもや進めるもの」だと指摘した。Trump大統領は米国の深海採掘促進を目的とした大統領令に署名し、米国海洋大気庁(NOAA)に迅速な手続きを指示した。これに対し、環境団体Ocean Ancestorsの Casseldine氏は、「これは海洋とその資源に対する主権と主体性をないがしろにしており、資源の収奪と太平洋の軍事化につながる」と批判した。また、同氏は国際水域で商業採掘を開始する許可をTrump政権に申請しているカナダの採掘会社The Metals Companyを批判した。この採掘会社は、国際的な深海の保護を担当する国際機関である国際海底機構(ISA)を通じて、商業採掘許可を得ることに失敗している。Casseldine氏は「深海採掘を急ピッチで進めることは、無責任であるだけでなく、人類共通の遺産を侵害するものである。私たちは、これらの鉱物の必要性が世界をグリーンエネルギーに移行させるためだと誤解させられており、実際には、権力、領土、利益、軍国主義という海底鉱物部門の真の原動力を露呈しているにすぎない。」と指摘している。一方、Trump大統領による大統領令では、「海底鉱物開発における米国のリーダーシップを推進することが、米国の方針である。」と記されている。そして、クック諸島は深さ5000メートル、約75万平方キロメートルのクック諸島の大陸棚に広がる67億トンともいわれる世界最大のマンガン団塊の宝庫である。クック諸島海底鉱物庁(SBMA)は、クック諸島政府の管轄下にあるすべての海底鉱物活動の管理と規制を任務とする政府機関であり、その機能のひとつに「クック諸島のSBMに関わる役割や関心を持つ他の政府機関と協力する」という項目がある。クック諸島政府は、現行体制での管理を継続しており、複数の企業に5年の探査ライセンスを発行しているのが現状である。(Radio New Zealand/MAY15, 2025)
https://www.rnz.co.nz/international/pacific-news/561073/trump-s-deep-sea-mining-order-condemned-as-militarisation-of-pacific
太平洋地域
【鉱物資源開発動向】
Trump大統領の深海鉱物採鉱命令が「太平洋の軍事化」と非難される(太平洋諸島)
2025.05.20