フィジーの繊維産業が衰退している理由のひとつとして、繊維・衣料・履物協議会のWanarajan会長は、繊維産業で働く労働者の賃金上昇を挙げている。この10年間で繊維製品の輸出は半減したという。Wanarajan氏は、4月1日より全国最低賃金が時給50セント(FJ$4.50からFJ$5)引き上げられることで、企業にさらなる負担がかかり、業界にとって「重大な影響」をもたらすだろうと述べた。この繊維産業の衰退は、主に生産コストの増加、熟練労働者の不足、不十分な研修体制などにより、グローバル市場で競争力を維持しようとする業界の苦闘を示している。Wanarajan氏は、ここ数か月の間に「200人以上の労働者が失業した」衣料品工場の閉鎖も、同業界の急速な衰退を示す明白な兆候であると指摘した。多くの雇用主は、労働コストの上昇と生産性の停滞に直面しているという。フィジーの繊維産業は最盛期には推定2万人の労働者を雇用していたが、Wanarajan氏によればその数は現在では4000人ほどにまで減少しているという。2024年1月、フィジータイムズ紙に対してWanarajan氏は、政府は、PALM(太平洋労働移動)スキームによる労働者の移住を支援するのではなく、免税や熟練労働者の確保に関する政策変更を支援する必要があると訴えた。同時に、より良い条件を求めて国外に流出する労働者に代わる労働力を確保するために、「他国からの熟練労働者の受け入れ」と「迅速な移民プロセス」の必要性も訴えた。(Radio New Zealand/MAR20, 2025)
フィジー
【経済・社会動向】
競争力維持のための苦闘―繊維産業(フィジー)
2025.03.24