パプアニューギニアの外務大臣は、2023年に両国間で締結された防衛協定に基づき、米国が10年間でパプアニューギニアのインフラ整備と軍事訓練に8億6400万米ドル(35億キナ)以上を支出することを明らかにした。同協定は、広大な海洋地域における中国の進出に対抗するため、米国が太平洋島嶼国との安全保障面での関与を強めていることを反映している。PNGのトカチェンコ外務大臣は、12月9日ににシドニーでのスピーチで、「同協定は、インフラ整備、訓練、装備など、この地域の安全保障に役立つ35億キナ以上の投資となる」と述べた。先月発表されたPNGの2025年国家予算では、国防費として4億4190万キナ(1億920万米ドル)が計上されており、今後数年間で約4億キナに減少すると予測されている。オーストラリア陸軍研究センターによると、オーストラリアは2022-23年に3180万米ドルを拠出する二国間プログラムの下、数十年にわたりPNGの主要な安全保障パートナーであった。PNG国防軍の質の低さは、PNGと豪州の両政府にとって長年の懸案であった。ローウィー研究所のMihai Sora太平洋諸島プログラム・ディレクターは、「オーストラリアと米国はPNGと安全保障協定を結んでいるため、3カ国は今後、国家と地域の安全保障について緊密に連携していくことになる」と述べた。太平洋で最も人口の多い島国であるPNGは、天然資源に恵まれ、「東南アジアに片足、太平洋に片足」という戦略的な位置にある。また、西太平洋における米軍の主要拠点であるグアムやオーストラリアに近いことから、東アジアを含む地域紛争が発生した場合、米軍部隊や物資を準備・展開できる重要な拠点でもある。15年間の防衛協力協定は、米軍機や艦船の通過、整備、給油、人員や災害救援物資の配置を可能にする。協定で特定されたいくつかの施設やその一部は、米国の軍隊が独占的に使用することができ、改修の許可を得ている。中国政府とソロモン諸島が安全保障条約に調印した後、数十年間放置されてきた太平洋に対する米国の関心は、2022年初めに喚起された。米国とオーストラリアなどの同盟国は、自国の防衛と安全保障にとって極めて重要と考えている地域で、中国の軍事的プレゼンスが高まることを恐れていた。中国はまた、台湾を外交的に孤立させ、自国に有利なように世界的な制度を再構築しようとしているため、経済的に後れを取っている多くの太平洋諸国にとって重要な開発パートナーとして浮上している。「米国との協定を結びながらも、中国は「PNGの友人」であり、重要な経済パートナーである」とトカチェンコ氏は語った。(Radio New Zealand/DEC11, 2024)
パプアニューギニア
【経済・社会動向】
8億6400万米ドル相当の米国との防衛協定が明らかに(パプアニューギニア)
2024.12.13