太平洋の地政学的な構図におけるオーストラリアの直近の動きについて、難民擁護団体や学者が意見を述べている。オーストラリア政府は、人口12,000人強で21平方キロメートルの環礁に位置するナウルに、今後5年間で1億オーストラリアドルを投じようとしている。ナウルは、オーストラリアの「ストップ・ザ・ボート(難民申請を認めない)」移民政策の中核をなす、問題の国外収容施設の所在地でもある。政治評論家は、今週オーストラリアのアルバネーゼ首相とナウルのアデアン大統領が署名した「ナウル・オーストラリア条約」を、この地域における中国の影響力を抑え込むための動きとして見ている。難民擁護団体は、同条約はオーストラリアがナウルに難民を収容し続けるための実質的な贈賄であり、ナウルは数十年にわたるリン鉱石採掘の結果、地形の大部分が荒廃した工業地帯となっていると主張している。Refugee Action CoalitionがRNZ Pacificに語ったところによると、現在ナウルには95人から100人の収容者がおり、その大半は中国とバングラデシュからの難民だという。同条約により、オーストラリアはナウルが他国と結ぶ様々な協定に対する拒否権を保持することになる。
アルバネーゼ氏は文書で、「同協定は双方にとって有益なものである」と述べた。一方、オーストラリア国立大学のHerscovitch研究員は、「収容センターは超党派の支持を得ており、オーストラリアの移民政策の重要な一部である」と言及した。さらに、シドニーの難民行動連合のスポークスマンであるRintoul氏は、「オーストラリア政府は難民をオーストラリアから締め出すために、事実上ナウルに賄賂を贈っているとし、過去において、ナウル人の生活を向上させるために外国からの援助が使われたことはない」と語った。オーストラリアは中国がこの地域に影響力を持つことに神経質になっており、これに付けこむようにナウルは援助を求め、そしてその援助は刑務所の改良やスポーツ施設建設などに費やされているという。(Radio New Zealand/DEC11, 2024)
ナウル
【経済・社会動向】
オーストラリアとの条約は「戦略的利益」か「腐敗した取り決め」か(ナウル)
2024.12.13